京大生との出会いが生んだ”三層構造”の人材育成モデル

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会社名株式会社ワオテック(WAOTECH)
代表者池森 英雄(CEO)
事業内容IT関連教育サービス・人材育成業。中高生向けプログラミング塾「BeEngineer」運営、大学生×プロエンジニアによる受託開発
設立2023年9月1日
従業員数約37名(プロエンジニア12名、大学生インターン約25名)
所在地〒530-0015 大阪府大阪市北区中崎西1-5-14 WAOビル
URL株式会社ワオテック

株式会社ワオテックCEOの池森英雄氏は、学習塾を50年運営するワオ・コーポレーションの代表取締役(現在は代表取締役社長)を兼務しながら、2023年にIT人材育成の新会社を立ち上げた。プロエンジニア・大学生・中高生の「三層構造」で人材を育成する独自モデルを構築し、リクルート費ゼロで優秀な人材が集まる組織づくりの秘訣を聞いた。

目次

塾の卒業生と始めた、プログラミング教育への挑戦

ワオテックの原点は、池森氏が率いるワオ・コーポレーションの卒業生たちとの出会いにある。きっかけは約8年前、京都大学に進学した卒業生たちからの提案だった。

のぞクマくん
ワオテックはどのようにして生まれたんですか?
池森さん
京大の電子工学科に入る卒業生たちが、「僕らはサーバーサイドをやるんで、先生らは共通テストの情報の問題を作らんとあかんから、プログラミングせんとダメですよ」って言ってきたんです。その時に初めて私はプログラミングをちょっと勉強してみたんですよね。それが彼ら(彼女ら)との出会いというか、8年前かな

池森氏は京大生たちに百万遍の交差点近くの一軒家を提供し、24時間オープンの開発拠点を作った。そこから毎年約100人の学生に無料でプログラミングを教える活動が始まる。

池森さん
彼ら(彼女ら)には一軒家の家賃を提供して、京大生が24時間自由に使える場所を作って。百万遍の一番有名な交差点に構えてるんです
のぞクマくん
そこからどうやってビジネスになっていったんですか?
池森さん
彼ら(彼女ら)は「エンジニアになりたい学生100人にプログラミングを教えて、2,3人が実際にエンジニアになれたら」と言って。私は「君たち偉いんだから50人ぐらいまでみんな賢いんやろって。たくさんエンジニアを育成して、いいビジネスにしようよって言って、プログラミングの塾をしようみたいなことを始めたんです

こうして中高生向けプログラミング塾「BeEngineer」が誕生し、2023年9月には株式会社ワオテックとして法人化した。プロエンジニアが大学生に技術を教え、大学生が中高生にプログラミングを教える「三層構造」が、ワオテック独自の人材育成モデルだ。

採用基準はたった一つ、”ええやつか”

ワオテックには際立った特徴がある。学生のリクルート費用がゼロ円だということだ。

のぞクマくん
学生さんはどうやって集まってくるんですか?
池森さん
学生のリクルート費用はゼロ円です。勝手に来ます。むっちゃいい場所やって、勉強しながら金もらえるし。たまには飯もおごるしみたいな。一応私、週1回学生に向けて喋るんで、彼ら(彼女ら)は毎週社長のプレゼン聞いてます。
のぞクマくん
採用で見ているポイントは何ですか?
池森さん
1個だけなんです。私が注文つけてるのは。ええやつかって聞くんです。そいつはええやつかって
のぞクマくん
「ええやつか」、シンプルだけど深い基準ですね

学生は友人の紹介で集まることが多い。友人を連れてくる際には「こいつと一緒に働きたいか」というフィルターが自然とかかる。池森氏は、互いにメリットのある関係が学生を引き寄せると語る。

池森さん
友達のつてで来ることが多いので、一緒にいたくないような人を絶対連れてこなくって、しかも勉強したい、ビジネスしたいっていうメンバーが来てるんです

現在、大阪では阪大を中心に約15名の学生が在籍し、東京では東大生3名、筑波大生2名、早大の政経に入る学生なども加わっている。プロエンジニアも20代が中心で、新しいスキルを求めてワオテックに集まってくる。

基本情報を取れば時給が上がる——成長と仕事の両立設計

ワオテックの育成には明確なインセンティブ設計がある。資格を取れば時給が上がる仕組みだ。

のぞクマくん
学生さんの待遇面ではどんな工夫をしていますか?
池森さん
大阪は最低時給が1,177円なんですよ。だから1,200円スタートで始めて、2か月で基本情報を取ったら1,260円で勉強してます。応用情報も取ったら1,320円です
のぞクマくん
資格を取るごとに時給が上がるんですね。学生のモチベーションになりますね
池森さん
彼ら(彼女ら)賢いんで、2か月ぐらいで取るんです。で、基本情報を取ったら在宅勤務の権利も与えられます。在宅をするということは仕事が割り振られるということなので、タスクが振られたら在宅がオッケーになるんです

勤務は火曜・金曜・土日が基本で、大学の授業後に夕方から参加する学生が多い。池森氏は「規律を持った自由」という方針で運営している。

プログラミング塾で中高生に教える仕事には、時給2,400円という高い報酬が設定されている。池森氏はそこにも狙いを込めている。

池森さん
エンジニアは絶対に喋れた方がいいから。俺を見てもらったらいっぱい喋れるってわかると思うけど、前に立つのを1年続けてみたらかなり喋れるようになる。それはすごくいい経験になるので。

今年初めて、ワオテックで4年間アルバイトをした大学生が卒業を迎えた。2名がコンサルティングファームに就職し、2名は大学院に進学した。

池森さん
今回卒業した二人が言ってましたけどね。経営者と直接一緒に仕事することの貴重さ、どんな価値があるかというのは2年目ぐらいまで分かってなかった。就活して、今から就職っていう時に、経営者の横でずっといるってすげーことやっていうことが分かったと
のぞクマくん
それは経営者の方にとっても嬉しい言葉ですね

AI時代に少人数で勝負する——プロと学生のコラボ開発

ワオテックのもう一つの柱が、プロエンジニアと大学生による受託開発だ。フェンリルデザインなどの企業と取引を重ねている。

のぞクマくん
開発事業はどのように広がっているんですか?
池森さん
大学生をビジネスに参画させようと。プロを雇ったのは、学生だけではスキル的に心もとなかったりするので、プロを上に置いて、技術と品質を担保して、世の中とビジネスができるような形を整えたんです

AI時代の到来が、この少人数チームに追い風を吹かせている。業務委託のプロエンジニアたちから、ある声が上がり始めた。

池森さん
「ここでフルタイムで働かせて欲しい」と業務委託の人のうち二人ぐらいから言われてて。彼ら(彼女ら)は何考えてるかというと、今まで例えば1,000万とか3,000万、5,000万ぐらいの開発のことは、いい設計者とAIと学生がいれば、2、3人でできちゃうって分かってしまったということなんです
のぞクマくん
AIの活用で、少人数でも大きな開発ができる時代になったんですね

池森氏自身も営業を担い、長谷工リンクスの契約書電子化プロジェクトなど、大手企業との取引も進行中です。2025年度の売上は約7,700万円。来年度は2億円を目指す。

“人材難はありません”——優秀な人材を育成する仕組みを

ワオテックが掲げるビジョンは、学生の力を活かしたIT人材の輩出だ。池森氏は「人材難」という言葉を否定する。

のぞクマくん
今後の展望を教えてください
池森さん
学生を集めるのに資金を集めることができれば、多分どの大学の学生も集められるっていう。今は阪大で、次また新年度が始まって10人ぐらいを採ろうと思ってて。彼ら(彼女ら)はかなりの価値がある人物たちですからね

特に教育分野と地方のDX推進に課題意識を持っている。

池森さん
教育系は遅くて、地方は遅すぎて、世間の動きに全くついていけてない。それをしっかりとサポートしたいと思っています

最後に、学生と経営者それぞれに向けたメッセージを聞いた。

池森さん
自分を鍛える環境に置いて欲しいというか、もっとできるっていうか。AI時代なんで今は何でもできる。でもやっぱりチームで仕事をしていかないとダメだと思っているので、こういうところでビジネスに参画して欲しいなって思っています
のぞクマくん
経営者の方に向けてはいかがですか?
池森さん
経営者にとっては多分人材難が最大の課題だと思うんで。ワオテックには人材難はありません。自社で育成できる仕組みをあなたの会社にも入れませんか、と。困ってる経営者がいらしたら、しゃべるぐらいならなんぼでも喋ります。一緒に頑張りましょうとお伝えください

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、池森氏の「ええやつか」という採用基準のシンプルさと、その裏にある周到な仕組みづくりだ。50年の教育経験に裏打ちされた人材育成のノウハウが、AI時代のIT企業に形を変えて息づいている。

  1. 株式会社ワオテックは、プロエンジニア・大学生・中高生の「三層構造」でIT人材を育成する独自モデルを構築している
  2. 池森英雄氏は採用基準を「ええやつか」の一点に絞り、友人紹介による相互作用でリクルート費ゼロの組織を実現している
  3. 資格取得による時給アップや在宅勤務の権利付与など、学生のモチベーションを高めるインセンティブ設計を整えている
  4. AI時代において、少人数のプロと学生のチームで数千万円規模の開発案件を手がけられる体制を確立している
  5. 2025年度売上約7,700万円から来年度2億円を目指し、全国の大学への展開を見据えている

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