“全部自分でやる”から”任せる”へ、OSR代表の挑戦

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会社名株式会社OSR
代表者大崎 純(代表取締役)
事業内容大型工場・プラントの機械設備の搬入・据付を専門とする「重量鳶」工事業。近年はデジタルサイネージ事業も展開
設立2022年3月
従業員数7名(協力会社多数)
所在地埼玉県春日部市
URL株式会社OSR

株式会社OSRは、大型工場の心臓部となる機械の搬入・据付を手がける「重量鳶」の専門会社です。
代表取締役・大崎純氏は、支払い未収という経営最大の危機を乗り越え、採用ではスキルより人間性を重視する方針を貫いてきました。
今は「全部自分でやる」から「任せる」経営への転換期にあります。

目次

解体業から重量鳶へ、大崎純氏の創業ストーリー

大崎氏が重量鳶の世界に入ったのは、偶然の出会いがきっかけでした。もともと知っていた業界ではなく、たまたま知り合った人物の手伝いに行ったことが入り口だったといいます。

のぞクマくん
重量鳶を始めようと思ったきっかけを教えてください。

大崎さん
単純に知らなかったんですよね。今までも建設業をやっていたんですけど、初めは解体業に務めて、他にも塗装だったりいろんなことをやったんですけど、結局解体業に戻って、その中で引っ越しをした時にたまたま重量鳶をやっている知り合いがいて、それで重量鳶って何だ!?みたいな感じで1回ちょっと手伝いに行ったんですよ。

のぞクマくん
その時の印象はどうでしたか?

大崎さん
その時にもう早上がりって言っても、その1日でやる工程が決まってるんですよ。1台据え付けてセットしてもう終わりとか、極端な話10分とか30分とかで終わって、その分の日当がそのまま1日分もらえるんで、まあそこが入り口ですよね。自由な時間も取れるし。

もっとも、実際に独立して現場に入ってみると、想像とは違う現実が待っていました。
応援で入った現場では「9時頃まで引っ張られる」ハードな日々が続いたといいます。

のぞクマくん
自由な時間が取れそうという期待と、実際はどうでしたか?

大崎さん
自分でやってみた時は、応援とかで行かしてもらうんですけど、会社さんの手伝いで、あんまり早く終わるっていうのはなかったですかね。もう結局9時頃まで引っ張られたりとかあったんで、最初の頃はなかなかハードだった印象ですね。

それでも「何があってもやめない」と決めていたことが、その後の独立につながります。
28歳前後で重量鳶の世界に入り、30歳頃に独立を果たしました。

経営最大のピンチ——支払い未収から学んだ「人を見る目」

創業後、大崎氏が経験した最大の危機は、取引先からの売上代金の支払い遅延でした。
従業員4人を連れての出張現場で、朝から晩まで働いた末に約600万円の売上を上げたにもかかわらず、その支払いが滞ったのです。

のぞクマくん
起業してから一番のピンチについて教えてください。

大崎さん
一番ピンチだったのは、まあ従業員が確か4人ぐらいいたんですかね。出張に行ってて、毎日朝から晩まで残業したのも含めて、600万円ぐらい売上がいったんですね、確か。それを払われなかったことがあって、給料も払えないっていう状態になって。まあ、なんか徒歩で帰ったのを覚えてますね(笑)

のぞクマくん
それは大変でしたね……結局、支払いはされたんですか?

大崎さん
されました。1ヶ月以上は遅れたんじゃなかったかなと思いますね。あとは、普通にもう親会社のさらに上に電話して、言ってもらうというか。ちょっと怒られたりもしましたけど。

この経験は、大崎氏にとって大きな教訓となりました。
同業者の間でも支払い遅延は珍しくないといい、この一件を境に取引先を見極める目が養われたと振り返ります。

のぞクマくん
この経験は、その後の経営にどう影響しましたか?

大崎さん
それでいい薬になったじゃないですけど、見る目が磨かれたっていう感じがしますね。

採用で重視するのはスキルより人間性

現在7名の社員を抱えるOSRだが、協力会社も含めれば現場に関わる人数はさらに多くなります。
採用において大崎氏が一貫して重視しているのは、経験やスキルではなく人間性です。

のぞクマくん
採用で大切にしている基準はありますか?経験者のスキル重視ですか、それとも人柄重視ですか?

大崎さん
あ、そっちですね!スキルはあんまりというか後からついてくると思うんで。人間性って言うと変ですけど、そこですね、1番。

面接は大崎氏自ら行い、書類選考や複数回の面接といった形式的なプロセスは設けていません。
判断基準は「合うか合わないか」という感覚的なものだといいます。

のぞクマくん
面接ではどんなところを見ていますか?

大崎さん
なんとなく合わないなとか、なんかこう会えば分かるっていうと変ですけど。なんとなく分かりますし、やっぱりその結果通りになったりもするんで。なんかどこでもいいやみたいなスタンスだと、やっぱりちょっと合わないのかなっていうのはありますかね。

のぞクマくん
それ、すごくわかります。姿勢が伝わってくるんですね。

職人の世界は若手が少ないイメージがありますが、OSRには18歳の社員や小学校からの同級生も在籍しています。
大崎氏は、女性の職人が活躍できる可能性についても言及しました。

大崎さん
女性の社長も知ってるんで、逆に女性の社長で男性8人ぐらい使ってる社長もいるんですよ。どちらかというと頭を使う方が6、7割なんで、力ももちろん使いますけど、やっぱり使うのは頭とか経験とか判断力が問われる仕事だと思うので。女性でも、難しくはないかなと。

「やらせてみる」育成方針と、離職への向き合い方

未経験者への教育方針について、大崎氏は早期に現場を任せることで成長を促すスタイルを取っています。

のぞクマくん
未経験で入社された方には、どのように教えていますか?

大崎さん
いきなり難しいことはさせないようにしているので、ある程度教えて、少しずつ。ただ、ずっとやらせないわけにはいかないっていうか、自分は結構やってやってみなっていうタイプなんで。その方が伸びるのも早いのかなって。

一方で、離職率が低いとは言えない現状も率直に語りました。
現場は体力的にハードで、面接後に音信不通になるケースも珍しくないといいます。

のぞクマくん
離職率についてはどう捉えていますか?

大崎さん
結構多分ハードなんで、離職率は高めかもしれないですね、正直言うと。

引き止めについては、本人の意思を尊重する姿勢を貫いています。
辞めたいという気持ちは簡単には消えないため、無理な引き止めはしないという考え方です。

のぞクマくん
辞めたいと相談された時、引き止めることはあるんですか?

大崎さん
引き止めはしないですね。もう1回そうなってしまうと、止めても結局少しだけ期間が伸びるだけだと思ってるんで。1回そう考えた気持ちはなかなか消えないと思うんで、普通に送り出すみたいな感覚ですね。よっぽどじゃないと止めないです。

のぞクマくん
なるほど、本人の意思を尊重するスタンスなんですね。

売上10億〜20億へ。権限委譲とデジタルサイネージという新たな挑戦

現在の売上は約2億円ですが、大崎氏は近い将来10億〜20億円規模への成長を目指しています。
そのために欠かせないのが、自身がすべてを担う体制からの脱却です。

のぞクマくん
今後、会社をどんな規模にしていきたいですか?

大崎さん
すぐにでも、まあ10億とか20億はいきたいなっていうのはありますね。ある程度乗ってきちゃえば、また違うステージが見えてくるので。

これまでは自身がすべての業務を抱え込む傾向がありましたが、「対価と割に合わない」と感じたことをきっかけに、人へ任せる経営へと舵を切っています

のぞクマくん
今、時間の使い方で理想と現実のギャップはありますか?

大崎さん
今までだったら、多分自分がもっと人間を連れていくっていう考えになったと思うんですけど、やっぱり自分がすべてやってしまうと、対価と割に合わないというか。それを感じたので、今は任せる方に寄ってるというか、そう考えてますね。その方がうまく回るので、もっといろんな人に任せたいっていうのは思ってます。

新規事業として準備を進めているのが、デジタルサイネージ事業です。
大崎氏は数年前から街の映像演出の可能性に着目しており、重量鳶の技術と組み合わせて一貫施工を打ち出す構想を描いています。

のぞクマくん
デジタルサイネージ事業は、どんなきっかけで始めたんですか?

大崎さん
もう3年も4年も前ぐらいから、デジタルサイネージには個人的に気づいていて。韓国とかに行った時も、やっぱりこの動画で街を彩るっていうのは確実に来るなって思ってたんで。AIとかも来てるんで、この先間違いなく来るな、普及されてくるなっていうのは思っていて。

早ければ今年中の本格始動を目指しており、重量鳶で培った施工力を活かした一貫対応が強みになるといいます。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、大崎氏が支払い未収という大きな挫折を「見る目を磨く経験」として消化し、それを採用における「人間性重視」の姿勢にもつなげている点でした。すべてを自分で抱えるスタイルから、人に任せる経営へと変化を遂げようとする今の姿勢にも、次のステージへの覚悟がにじんでいました。

  1. 株式会社OSRは、大型工場の機械設備の搬入・据付を専門とする「重量鳶」事業を展開している。
  2. 大崎純氏は、過去の支払い未収という経営危機を通じて取引先を見極める目を養った。
  3. 同社は採用においてスキルよりも人間性を重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めている。
  4. 大崎氏は、自身がすべてを担う体制から人へ任せる経営への転換を進めている。
  5. 同社は重量鳶事業に加え、デジタルサイネージ事業の展開を今年中に見据えている。

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