“エビデンスなき採用”は失敗する。4万人と向き合った人事のプロが語る採用の真実

  • URLをコピーしました!
会社名株式会社ブルーム
代表者小峰正仁(代表取締役)
事業内容採用・組織・人材開発コンサルティング、アントレプレナーシップ教育、人事の科学コンサルティング
設立2022年7月7日
従業員数1名
所在地東京都港区新橋1丁目5−5 国際善隣会館6F
URL株式会社ブルーム

株式会社ブルーム代表の小峰正仁氏は、前職・株式会社メンバーズで執行役員として18年間・累計4万人以上の採用・育成に携わってきた人事のプロだ。「頑張ります、は信じない」「エビデンスのない採用は失敗する」
——その採用哲学は、数々の実話とともに磨かれてきた。本記事では、小峰氏が実践してきた採用・育成の流儀と、学生時代からビジネスリーダーを育てようとする理由に迫る。

目次

役員を「自ら降りた」決断。世代交代は自分でけじめをつける

上場企業の執行役員が、自らポストを手放すことを社長に申し出る——それが小峰氏のキャリアの転換点だった。株式会社メンバーズが東証一部へ上場した翌年の2018年、小峰氏は在任中にもかかわらず、次の株主総会での任命を辞退するよう社長に直談判した。

のぞクマくん
役員を降りようと思ったのは、どんな理由があったんですか?

小峰さん
僕がやり続けることは会社にとって良くない。と思ったことと次の代がいるので世代交代すべきだよねと思って。社長に取締役を降ろしてくれと言ったんですよ。

のぞクマくん
自分から言い出すって、なかなかできないことですよね。

小峰さん
社長室を出る時に「一年早かった」と言われたんです。つまり社長も同じことを考えていた。だから逆に、経営者として同じことを考えていて良かったなと思ったんですよね。

自分から言い出せたのは、全体を見通す力があったからだと小峰氏は振り返る。
もし黙って一年後に「そろそろ降りて」と言われていたら、ショックだったと思う、と語る。2022年8月末にメンバーズを退職し、同年7月7日(七夕)に登記していた株式会社ブルームとして独立した。

「頑張ります」は信じない。エビデンスで採る採用哲学

小峰氏の採用の根幹は一つだ。「過去に頑張った実績のある人しか取らない」。これは新卒・中途を問わず一貫している。前職で新卒・中途合わせて約4万人の面接を経験する中で、確信を深めてきた原則だ。

のぞクマくん
「頑張ります」「何でもやります」という学生は、やっぱり多いですよね。

小峰さん
メンバーズに入ったら頑張ります、何でもやります、というのは、100人いたら95人みんな言うんですよ。でも、それは全部ね、頑張らないんですよ。

のぞクマくん
じゃあ、どこを見て判断するんですか?

小峰さん
エビデンスで過去に頑張った実績のある人しか取れなかった。つまり行動している人。入ったら頑張りますという奴は取らない、ということです。

また、面接でカタカナ用語を多用する候補者には必ず深掘りするという。「ワークライフバランスが大事です」という発言に対して「あなたの考えるワークライフバランスって何ですか?」と聞き返すと、大抵の人は答えられない。
言葉を借りているだけで、自分の言葉として消化されていないからだ。「カタカナをよく使うやつは大体中身がない」
これも4万人の面接から導き出した、小峰氏の確信だ。

一方で、素直さも重要な判断基準だと言う。

小峰さん
素直な人って結構いろんな経営者が言っていて。素直なやつってやっぱ伸びやすくて、チームワークで仕事するじゃないですか。屁理屈言うやつって、みんな可愛がってくれないじゃないですか。

のぞクマくん
知識やスキルより、素直さの方が大事だということですね。

小峰さん
そういうこと。エビデンスがあって、かつ素直。これが揃えば、あとは育てられる、という確信があります。

「しゃべれない」と言われた彼が、200人の前で喋った日

採用哲学を象徴する実話がある。国家資格を4つ・オラクル資格も取得していた専門学校生のIさんは、しかし極度にしゃべれなかった。5社の最終面接に進んで5社すべてに落とされ、5月になっても内定がなかった。

のぞクマくん
そんな状態の学生を、小峰さんは採用したんですか?

小峰さん
僕は彼に「何で資格を取ったの?」と聞いたら、「学んだことの成果を確認したくて、勉強して資格を取りました」って。そこのエビデンスを僕は引用して、じゃあわかった、入って頑張って、と言って。

のぞクマくん
入社後も、現場から心配の声があったんじゃないですか?

小峰さん
入社式のときに人事の女子が横にいて、「コミさん、全然喋れないけどどうするんですか?」と言うから、「それは君たちが育ててください」と言って。

その後、Iさんは仙台に配属された。翌年の内定式で登壇した彼は、普通に喋っていた。さらにその翌年、200人の専門学校生の前でストレートでの国家資格取得について講演し、上位層の学生たちが食いついて盛り上がったという。
人は変われる——ただし、頑張った実績がある人だけ
Iさんは現在、入社12年目でマネージャーに昇進した。

小学生に「自分のご機嫌は自分で取れ」と言う理由

こうした採用・育成の経験から、小峰氏は「もっと若い時代からやらせなきゃダメだ」と確信するようになった。
約20年前から葉山でミニバスのクラブチームを主宰しているが、そのビジョンは「将来のビジネスリーダーを育む」だ。バスケットボールはあくまで育成のツールと位置づけている。

のぞクマくん
小学生にビジネスのマインドセットを教えるって、具体的にどんなことを?

小峰さん
今年の4月に言ったのは、今はAIの時代ですと。これからは面倒がかからない人間を会社は欲しがりますと。だから自分のご機嫌は自分で取ってねと。不機嫌はダメだよ、自分で取れと言って。

のぞクマくん
小学生にですか。すごいですね。

小峰さん
遠征とか行った時に、レストランでメニュー決めてって決められない子は大体親が決めちゃってる子なんですよ。だから親には「それやめて」と言って。決められなくなっちゃうよって。

現在、高校・専門学校・大学・高専など7校でアントレプレナーシップ教育のセミナーを実施している。小峰氏が大切にしているのは、起業家を量産することではなく、「選択肢を知り、選んで進める人を増やすこと」だ。

小峰さん
全員が起業家になったらこの国は滅びるじゃないですか。ただ、選択肢を知れってこと、もっと。選択して選んでいって欲しいんですよ。で、その中に起業する人もいるのは良くて。選択できるって、僕は大事だと思ってるんで。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、小峰氏が「変わった採用」と自ら表現する、エビデンスへの徹底したこだわりだ。華やかな経歴や流暢なトークよりも、「過去に何を実際にやったか」を問い続ける姿勢は、18年・4万人超の面接から裏打ちされた確信に基づいている。そして採用の哲学がそのまま育成・教育へとつながっていく様子に、一本筋の通った経営哲学を感じた。

  1. 株式会社ブルーム・小峰正仁氏は、前職で新卒・中途合わせて約4万人の面接を経験した採用・育成のプロである。
  2. 小峰氏の採用基準は「過去に頑張った実績(エビデンス)があること」と「素直であること」の2点に集約される。
  3. 「入社したら頑張ります」という言葉は信じず、過去の行動実績のみを採用判断の根拠とする。
  4. 「人は変われる——ただし頑張った実績がある人だけ」という哲学のもと、採用後の育成にも一貫したコミットメントを持つ。
  5. 小峰氏はアントレプレナーシップ教育を通じ、学生・小学生世代から「選択できる人材」を育てることを使命としている。

あなたの経営も、記事にしませんか?

掲載無料。話すだけで、御社の魅力が記事になる。

掲載希望はこちら →

  • URLをコピーしました!
目次