“職人の自立”を後押しする、訪問マッサージ経営19年の哲学

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会社名SOSEI Tech株式会社
代表者秋谷 貞男(代表取締役)
事業内容訪問鍼灸マッサージ・訪問看護等の在宅医療介護支援、広報・PR/ブランディング支援、厚生労働省認定医療機器の代理店販売
設立2008年
従業員数約10名(業務委託含めて)
所在地神奈川県横浜市南区万世町1-1
URLSOSEI Tech株式会社

SOSEI Tech株式会社は、横浜で訪問鍼灸マッサージ事業を19年にわたり手がける会社です。
代表の秋谷貞男氏は、半導体業界からの転身、リーマンショックによる苦境を乗り越え、「職人の自立」を軸にした独自の採用・育成スタイルを築いてきました。
今回はその経営哲学を伺いました。

目次

半導体からヘルスケアへ、リーマンショックが生んだ転身

SOSEI Tech株式会社は、半導体業界での経験を経て2008年に設立され、リーマンショックによる混乱の中で在宅医療介護分野への転換を果たしました。
現在は訪問鍼灸マッサージ事業を中心に、広報・PR支援や医療機器の代理店販売まで手がけています。

秋谷氏はもともと牛丼チェーンでの現場経験を経て半導体業界に入り、15年ほど半導体の商社で働いていました。
その中で感じたのは、日本のエンジニアの評価の低さと、下請け企業が正当に報われない構造だったといいます。

のぞクマくん
まず簡単に事業内容をお聞かせいただけますか?

秋谷さん
元々は半導体とかエレクトロニクス系の中小企業支援から始まって、今は在宅介護サービスの訪問鍼灸マッサージをやりながら、その延長でPRの支援やブランディング支援もやっています。直近では厚労省に医療機器認定された医療寝具の代理店にもなりました。

のぞクマくん
なんでその事業を始めようと思ったんですか?

秋谷さん
2008年に独立したんですが、最悪のタイミングでいきなりリーマンショックが来て、中小企業がどんどん厳しくなって。当時ハードウェアの分野で残っていたのが、医療機器とかヘルスケアの世界しかなかったんです。

のぞクマくん
なるほど、リーマンショックがきっかけだったんですね。それでヘルスケアの世界に踏み込んでいったと?

病院への参入は簡単ではなかったものの、2000年頃から在宅医療介護の枠組みが広がったことを機に、厚生労働省が管轄する訪問マッサージの領域に本格参入。
最終的には訪問看護から撤退し、訪問鍼灸マッサージに事業を絞り込みました。
ただし国家資格を持つ施術者を雇用する一方で、戦後から変わらない広告規制という壁に直面したといいます。

業界の壁を逆手に取る、ポスティング集客の裏側

SOSEI Tech株式会社は、一般的なケアマネジャー経由の紹介営業ではなく、独自のポスティング戦略で高齢者層に直接アプローチする集客手法を確立しています。

訪問鍼灸マッサージ業界では「マッサージ」という言葉自体が薬機法に抵触する恐れがあり、テレビや新聞でのPR活動が難しいという構造的な課題があります。
秋谷氏はこの状況を、ターゲットを絞り込んだポスティングという地道な手法で乗り越えてきました。

のぞクマくん
ポスティングで反響を得るのって、正直あまり聞いたことがないので驚きました。

秋谷さん
一般的には反応率1000件で3件くらいと言われますが、うちはもっと確率がいいんです。ターゲットはおじいちゃんおばあちゃんと決まっているので、そういう人たちが住んでいる団地やマンションを絞り込んでポスティングしています。

のぞクマくん
場所を絞り込むのが重要なんですね。他にも工夫されていることはありますか?

秋谷さん
新聞が配達されるタイミングに合わせて配ったりします。高齢者は新聞を読む習慣がある方が多いので、新聞に近いタイミングで見てもらえる可能性が高いんです

業界標準とされる反応率1000件で3件という水準を上回る成果を、ターゲットの生活リズムに合わせた配布によって実現している点が、同社の集客戦略の核心です。
医療費とは別枠となる療養費制度の中で経営を成り立たせるため、広告に頼らない地道な手法を積み重ねてきました。

資格より大切にしていること、独立を前提にした採用基準

SOSEI Tech株式会社の採用では、国家資格の保有を前提としながらも、副業や柔軟な働き方を受け入れる姿勢を重視しています。

同社では書類選考よりも面接を重視し、実質的には「転職・独立指導」に近い形で人材と向き合っているといいます。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準ってありますか?

秋谷さん
資格は必須ですが、それ以上に大事にしているのは価値観です。今の時代、副業が当たり前になってきているので、副業でもいいですかと聞いてくるような人の方がいいと思っています。

のぞクマくん
副業も全然OKなんですね!一般的な会社だと副業禁止のところも多いので、意外です。

秋谷さん
全然構わないですよ。給料をなかなか上げられない会社が多い中で、副業を禁止するのは矛盾していると思っています。

面接についても、単なる合否判定ではなく、応募者本人のキャリア全体を見た上で、時には他社や独立という選択肢を提案することもあるといいます。
ある治療家の事例では、面接を通じて本人の適性を見極め、最終的に独立という道筋を後押ししたこともありました。

のぞクマくん
面接の枠を超えて、その人にとって一番いい選択肢を考えているんですね。それってなかなかできることじゃないと思います。

秋谷さん
職人の子たちは、本来は自分で独立して稼ぐのが自然な形だと思っています。だから採用の時点で、いずれ卒業して自分でやっていくことを前提に話しています。

現場に任せる経営スタイル、5年以上勤続が語る定着率

SOSEI Tech株式会社では、業務委託を含む柔軟な組織体制のもと、現場運営を大幅にスタッフへ委任する経営スタイルを取っています。

現在は社員・アルバイト・業務委託を合わせて約10名の体制で、事務所での作業は最小限に抑え、現場主義を徹底しています。

のぞクマくん
今の組織体制について教えてください

秋谷さん
今は現場に指示をして、現場がやってくれる体制になっています。長く勤めているスタッフはもう5年以上働いてくれていますね。

のぞクマくん
5年以上の勤続はすごいですね。長く働いてもらうために意識していることはありますか?

秋谷さん
世代によって価値観がかなり違うので、現場にはあまり細かい指示を出さないようにしています。若い子には若い子のやり方があるので、余計なことは言わない方がいいと思っています。

業務委託の治療家に対しては、売上の6割を報酬として還元する仕組みを採用。
この仕組みにより、意欲的に件数をこなして高い収入を得る治療家も出てきているといいます。
世代間の価値観の違いを認めた上であえて現場への介入を控えるスタイルが、結果として長期的な定着につながっていることがうかがえます。

3年後に2店舗・月商2000万円、次世代への独立支援

SOSEI Tech株式会社は、3年後に2店舗体制・月商2000万円を目標に掲げ、治療家一人ひとりの自立を後押しする方針を明確にしています。

現在の店舗はすでに月商1000万円という目標に迫っており、優秀な治療家の活躍がその推進力になっているといいます。

のぞクマくん
今後の展望について教えてください

秋谷さん
3年後には2店舗で、月商2000万円くらいになったらいいなと思っています。今の店舗も1000万円という目標にあと一歩まで来ています。

のぞクマくん
もし魔法の杖があったら、会社の何を一瞬で解決したいですか?

秋谷さん
魔法の杖があったら、治療家を5人くらい一瞬で採用できるのが一番ありがたいですね。

のぞクマくん
採用が一番の課題なんですね。最後に、働いてみたいと考えている方や、同じ悩みを持つ経営者の方にメッセージをお願いします。

秋谷さん
働いてくれる治療家の子たちには、もっと自分に自信を持って、自分の力で頑張ってほしいと思っています。それができる体制はこちらで整えます。同じ経営者の方には、現状維持に甘んじず、もっと自信を持ってほしいと伝えたいです。

秋谷氏は、思考停止こそが経営者にとって最大のストレスだと語ります。
業界の慣習にとらわれず、治療家の自立を前提とした採用・育成の仕組みづくりこそが、19年間続く経営の土台となっているといえるでしょう。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、秋谷氏が「職人の自立」を一貫した軸として語っていたことです。副業容認や現場への権限委譲など、一見ドライに見える経営判断の背景には、治療家一人ひとりの自立を後押ししたいという一貫した思いがありました。

  1. SOSEI Tech株式会社は、業界標準を上回る反応率を、ターゲットを絞り込んだポスティング戦略によって実現している。
  2. 秋谷貞男氏は、資格に加えて副業への柔軟な姿勢を採用基準として重視している。
  3. 同社は、世代間の価値観の違いを踏まえ、現場への細かい介入を控える経営スタイルを取っている。
  4. 秋谷貞男氏は、治療家の独立を前提とした採用・育成方針を掲げている。
  5. SOSEI Tech株式会社は、3年後に2店舗体制・月商2000万円を目標として掲げている。

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