楽しそうな方を選ぶ。大工17年目の経営者が語る採用と多角経営の哲学

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会社名株式会社大森工務店
代表者大森 雄大(代表取締役)
事業内容住宅・マンションのリフォーム・店舗内装工事、戸建て買取・不動産事業、飲食事業(職人弁当)、マレーシア民泊事業
従業員数約10名
所在地大阪府大阪市淀川区田川北1丁目9ー17
URL株式会社大森工務店

株式会社大森工務店の代表取締役・大森雄大氏は、16歳から大工として修行を始め、24歳で独立した職人出身の業界17年目の経営者だ。
現在は工務店・不動産・飲食・民泊と4つの事業を束ね、「楽しんで仕事をする」をモットーに20代中心の組織を率いている。採用・育成・組織づくりのリアルな哲学を聞いた。

目次

16歳から始まった職人人生と、24歳での独立

大森氏は16歳で大工の世界に飛び込み、2つの工務店で新築とリフォームの両方を経験したのち、24歳で独立した。きっかけは「自分の名前で仕事を取りたい」という一心だった。

のぞクマくん
独立しようと思ったのはどんな気持ちからだったんですか?

大森さん
自分の名前で仕事を取りたいなっていうのと、自分の名前で仕事を取って、直接お客さんの喜んでる姿とか見たいなと思ったので、独立して、そこでどんどん範囲を広げていって、工務店になっていったっていうような経路になってます。

現在の事業はリフォームがメインで、戸建て・マンションのリフォームと店舗内装工事を半々の割合で手がける。大森氏自身は現場を離れ、現場管理・デザイン・図面作成・集客・提案をすべて担う経営側に専念している。

のぞクマくん
起業して一番しんどかった時期はどんな時でしたか?

大森さん
ありきたりですけど、お金がなかった時期ですね。基本僕は建て替えの仕事なので、仕事を受注して、工事が終わってから工事代金をいただくんですけど、その終わる前の期間も職人さんの給料とかを払っていかないといけないので、材料の仕入れの金額とかもあったりして、建て替えがしんどかったのです。全然お金が回ってなくて、大変だったなと思います。

のぞクマくん
それを乗り越えられたのは何があったからですか?

大森さん
4日間ほぼ寝ずに現場に入り続けて、みんなで必死に働いたこともありました。正直かなり大変でしたが、そういう経験があったからこそ、今のつながりや信頼関係につながっていると思いますし、仕事を任せてもらえるようになった部分もあるのかなと感じています。

資金繰りの苦しさを踏ん張り続けた経験が、今の取引先との信頼関係を築いた。コロナ禍においては、在宅時間の増加で住宅リフォーム需要が伸び、売上をほぼ維持することができたという。

採用で一番大切にしているのは「楽しめるか」どうか

大森工務店では現在10名体制で事業を展開している。採用は求人媒体を使わず、知人エージェントからの紹介が中心だ。採用基準はスキルよりも「楽しんで仕事をするという価値観に共感できるか」を重視している。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準ってどんなところですか?

大森さん
前職やこれまでの経験は、人によって本当にさまざまだと思っています。だからこそ、「今まで何をしてきたか」だけでなく、なぜそれを選んできたのかを大切に見ています。私たちのモットーは、仕事を楽しむことです。もちろん大変なこともありますが、迷ったときに「しんどいかどうか」だけで決めるのではなく、楽しそうな方、面白そうな方に踏み出す。そういう前向きさや好奇心を大切にしています。その価値観に共感してくれるかどうかは、すごく大事なポイントかもしれません。

のぞクマくん
逆に、面接で「この人は合わないな」と感じる瞬間ってありますか?

大森さん
なんか自分のスキルっていうとこより福利厚生とか、そういうのばっかり気にしている人とは、なんか合わなさそうですね。そこも大事ですけど、自分の成長とかそういうところを重視してる人の方が合うと思います。

面接のフローも固定化されておらず、「紹介してもらって、一回面接して入るかどうか」というシンプルなスタイル。平均年齢は20代後半と若く、組織全体に活気がある。

キャリアアップシートと面談で育てる、自由な組織文化

育成面では、**個人の自主性を尊重したキャリアアップシートの仕組みを導入している。**年に一回、会社の方針に基づいて各自が「自分に何ができるか」を考えシートに落とし込み、面談で方向性をすり合わせる。

のぞクマくん
育成でこれだけは譲れないというこだわりはありますか?

大森さん
キャリアアップシートを作って、一年に一回方針を決めるんで、その方針にしたがって、みんな何ができるかっていうのを個人的に作っていってもらって、面談していくような感じですね。

のぞクマくん
個人に委ねるスタイルって、珍しいですよね。

大森さん
基本自由かもしれないですね。

福利厚生としては、月1回の1on1ミーティング(ランチミーティング)、会社負担のジム利用、社員旅行などを実施。ランチミーティングではお題を決めて話し合い、内容を共有シートに記録するなど、コミュニケーションを大切にした文化がある。

工務店・不動産・弁当・民泊——4事業を組み合わせる経営戦略

大森氏が現在手がけるのは、工務店・不動産・飲食(職人弁当)・マレーシア民泊の4事業だ。それぞれが独立して存在するのではなく、互いにシナジーを生む設計になっている。

職人弁当「大森弁当」は、職人時代に昼食を削る仲間を見て「安くてお腹いっぱい食べられるものを提供したい」という思いから始めた。新人弁当500円・職人弁当980円・親方弁当1,400〜1,500円という価格帯で、テイクアウトと現場配達の両方に対応している。

のぞクマくん
なぜお弁当屋さんも始めようと思ったんですか?

大森さん
僕が職人をやってる時に、結構お昼ごはんをケチったり、何も食べなかったりする職人さんとかを見て、節約にもなるしみたいな話も色々聞いてて、安くてお腹いっぱい食べれるもの、職人さんに作りたいな、提供したいなと思ってやったっていうのと、これから職人の人材不足になっていくので、LINE登録をしてもらって、そこの職人さんと設備屋さんのデータが欲しくて、やりだしたって感じですね。

のぞクマくん
弁当事業が職人ネットワークのハブにもなっているんですね。

大森さん
事業ごとに責任者となる人材を育てていきたいと考えています。そのうえで、各事業部が自走できる状態を目指しながら、必要な場面ではしっかり伴走していけるような体制をつくっていきたいです。

不動産事業では戸建ての買取を行い、工務店のリフォーム技術を活用してリノベーションのうえ販売する。
事業を組み合わせることで、それぞれの強みが掛け算になっている。今後は各事業に責任者を育て、事業部制で組織を拡大していく方針だ。

のぞクマくん
魔法の杖で会社の何かを一つ変えられるとしたら、何を選びますか?

大森さん
会社の価値を上げますね。価値を上げるっていうのは、ブランド、資産の部分だったりですよね。

資産価値を高め、ブランドとして会社を育てていくという視座は、職人出身の経営者らしい長期的な目線を感じさせる。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、大森氏の「楽しむ」という言葉の一貫性だ。採用でも育成でも新事業でも、常に「楽しそうな方を選ぶ」「面白そうな方に進む」という軸がブレない。職人として身体で覚えてきた仕事観が、経営の哲学としてそのまま組織に息づいていた。

  1. 株式会社大森工務店は「楽しんで仕事をする」を採用基準の中心に置き、スキルよりも価値観のフィットを重視している
  2. 大森雄大氏は16歳から大工修行を始め、24歳で独立。資金繰りの苦境を乗り越えた経験が現在の経営基盤を支えている
  3. 育成はキャリアアップシートと年1回の面談で個人の自主性を尊重する仕組みを採用している
  4. 工務店・不動産・飲食・民泊の4事業はシナジーを意識して設計されており、事業部ごとに責任者を育てる組織拡大を目指している
  5. 大森氏は「会社の資産価値を上げる」ことを経営の核に据え、ブランドとしての会社づくりに取り組んでいる

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