作りたいものより、求められるものを——学生起業の失敗が教えてくれたこと

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会社名株式会社WOGO
代表者秦 竟超(代表取締役CEO)
事業内容3D×AI技術を活用した製造業向けソフトウェア開発(自動検図・設計自動化・3Dスキャン等)
設立2021年1月
従業員数約11名
所在地東京都千代田区平河町2丁目8-9-2F
URL株式会社WOGO

株式会社WOGOは、東京大学工学部の同期メンバーが設立した3D×AI技術に特化したスタートアップだ。代表取締役CEOの秦竟超氏は、学生起業の失敗を経て「作りたいもの」から「求められるもの」への転換を果たし、製造業の課題解決に挑んでいる。本記事では、創業の原点から採用・育成の考え方、そして3年後の組織ビジョンまでを聞いた。

目次

大学の研究室で出会った3D技術が、起業の原点になった

株式会社WOGOは、東京大学工学部の同期を中心に立ち上げたスタートアップだ。創業メンバーはソフトウェアエンジニアが中心で、新しい技術を使って世の中を変えていきたいという信念のもとに集まった。

のぞクマくん
なぜ3D技術という分野を選んだんですか?
秦さん
もともと私自身、大学で3Dに触れるような機会がありまして、研究的な形で少しやらせていただいたんですけど、その時に詳しくなって、すごく可能性自体も感じたというところで、そこから起業してこのドメインでやっているという形になっております

3D技術はゲームや映画、医療、製造業の設計など幅広い分野で使われるシミュレーション技術だ。WOGOは当初B2Cのプロダクトを手がけていたが、現在は製造業にフォーカスしている。車や機械、ロボットの設計データを検証し、AIと掛け合わせて設計の自動化や技術伝承を支援するサービスを提供している。

のぞクマくん
3D技術は進化が激しい分野ですが、競争面での不安はなかったですか?
秦さん
技術進化はすごい激しいし、これからいろんなことが起きてきそうだとは思うんですが、技術分野自体がすごい深みがある分野なので、1年、2年だとキャッチアップできるような領域とはなかなか言えないというところも一つ特徴ではあります。私たちは本当に5年単位でやってきているというところと、会社の中でも創業メンバー含めて、本当に数人とか10人単位でそういった領域に対しての理解を持っている人がいる

ディープテックと呼ばれる深みのある技術領域で5年以上の蓄積があること。それがWOGOの強みだ。

「作りたいもの」から「求められるもの」へ——学生起業の苦い教訓

秦氏にとって最大の転機は、創業初期の失敗にある。学生起業だったため市場のニーズを十分に把握しないまま、技術ベースでプロダクトを開発してしまったのだ。

のぞクマくん
これまでで一番のピンチは何でしたか?
秦さん
最初起業した時って学生起業だったので、市場のこと知らなかったり、どういうニーズがあるのか知らなかったり、技術ベースで走ってしまった。この技術面白いから差別化しようみたいな形でやってきたところがあります。そこが非常に苦い教訓だったなと思うんですが、やっぱりいくら技術が良くても、誰かに役に立たない、使われなかったり、どうしても自己満になってしまう

最初に作ったいくつかのサービスはユーザーがついて伸びたものの、マネタイズやビジネスには繋がらなかった。

のぞクマくん
そこからどう方向転換したんですか?
秦さん
自分たちが作りたいものというよりは、求められているものを作るというところを、当たり前ですけど、そういうやり方にしたというところと、とはいえ新しい技術を使って世の中を変えていきたいという気持ちは変わらないので、その中で自分たちが得意なこと、他の会社ができなくて自分たちができるこの3Dの領域で、本当にお客さんに求められているものは何なのかというところを徹底的に追求して、それをサービス化している
のぞクマくん
技術への情熱は変えずに、届け方を変えたんですね。本質的な転換だと思います

「自分たちにしかできない技術で、顧客が本当に求めているものを作る」。この方針転換が、現在の製造業向けB2B事業の基盤となっている。

技術より人柄とカルチャーマッチ——採用で一番大切にしていること

WOGOの採用基準は明確だ。技術力よりも、人柄とカルチャーへのマッチを重視する。秦氏は「技術は後からついてくる」と言い切る。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準は何ですか?
秦さん
今、人柄とカルチャーのマッチの方を非常に重視しておりまして、技術自体は前の2点があれば後からついてくるのかなと思っています。自分たちも本当に育成していくという前提でいろんな方と一緒に仕事させていただいているんですけども、やっぱり考え方だったりとか、どういう風に社会を変えていきたいかだったりとか、そういうベースの考え方自体はすごく大事にしていかないといけない

一方で、秦氏が「危険信号」と語るのが、技術の面白さだけに惹かれて入社するケースだ。

秦さん
この3Dの技術、すごく華々しくて他の会社でもやっていないような技術なので、すごく興味を持っていただける候補者は非常に多い。ただ、やっぱりプロセス自体はすごく泥臭いプロセスなので、技術が面白いとか面白い部分だけを見て入ってくる人というところは、実は結構アンマッチになっているケースが多かった
のぞクマくん
華やかな技術の裏にある泥臭さ、そこを受け入れられるかが分かれ目なんですね

実際に過去には、入社半年で辞めてしまった社員もいた。技術やプロダクトの面白さに惹かれたものの、泥臭い試行錯誤や0→1の立ち上げに馴染めなかったケースだ。秦氏は採用において、技術を手段として捉え、顧客の課題解決を最後まで泥臭くやりきれるかどうかを重視している。

大企業の3〜5倍のスピードで成長できる環境

WOGOの育成方針は「現場で濃い経験を積む」ことに尽きる。平均年齢28〜29歳という若いチームの中で、早い段階からプロジェクトを任される環境がある。

のぞクマくん
新しく入った方をどう育てていますか?
秦さん
日本のいわゆる有名な大企業に入るよりも、自分たちの会社に入った方が、本当に3倍とか5倍ぐらいのスピード感で技術力だったりとか、いろんな開発の経験を積んでいって成長していけるというところが、自分たちの育成の今の仕組みというか、状態になっているのかなとは思いますね
のぞクマくん
放任ではなく、サポート体制もあるんですか?
秦さん
完全に放任主義というよりは、会社に2、3年以上経験を積んでいる人が新しく入った人をサポートしてあげるみたいな、そういった体制は整っています

働き方はフレックス制(コアタイム11時〜16時)で、基本出社を創業から一貫して続けている。新しいサービスをゼロから作る過程では、細かいディスカッションから新しいアイデアが生まれるため、同じ空間で空気感を共有することを重視しているという。

高いレベルの個の力を集結し、世界最前線で戦えるチームに

秦氏が3年後に思い描く組織像は、「ゼロイチで新しい価値を創出できるエンジニアが50人、100人単位でいる会社」だ。

のぞクマくん
3年後、どんな組織にしたいですか?
秦さん
個の強さというところは一つ期待しているところで、3年後には本当にゼロイチで新しい価値を創出できるようなエンジニアリングができる人が、20人とかだけじゃなくて、本当に50人とか100人だったりとか、その単位でいるというところがすごく思い描いている組織像ですね

ただし、求めるのは技術力だけではない。

秦さん
エンジニアの開発力が強いというところだけじゃなくて、ちゃんと顧客の課題を適切に捉えて、それを社内も巻き込んで推進していける。なおかつ技術に対しての本質的な理解がある。そういった能力が備わっているような人材が我々の理想としている人材です
のぞクマくん
技術力と課題解決力の両方を兼ね備えた人材ですね。グローバル展開も視野に入っているとか

秦氏はグローバル化への挑戦にも言及した。世界で戦える製品を複数出すこと。それがWOGOの3年後のビジョンだ。

現在の課題は、3D×製造業というニッチな領域ゆえの採用の難しさにある。ソフトウェア業界だけでなく、製造業で働く人の中にもWOGOの理念に共感してくれる人材がいるはずだと、秦氏は発信の強化を課題に挙げた。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、「作りたいもの」から「求められるもの」へと舵を切った秦氏の冷静さと、それでも「新しい技術で世の中を変えたい」という情熱を手放さなかった姿勢だ。学生起業の失敗を糧に、技術と市場ニーズの交差点を見つけ出した経営判断は、多くのスタートアップ経営者にとって参考になるだろう。

  1. 株式会社WOGOは東京大学発のスタートアップとして、3D×AI技術に特化した製造業向けソフトウェアを開発している
  2. 秦竟超氏は学生起業の失敗から「自分たちにしかできない技術で、求められるものを作る」という方針に転換し、現在の事業基盤を築いた
  3. 同社は採用において技術力よりも人柄とカルチャーマッチを重視し、「泥臭くやりきれるかどうか」を見極めている
  4. 育成は現場での実践を重視し、大企業の3〜5倍のスピードで成長できる環境を提供している
  5. 3年後には技術力と課題解決力を兼ね備えたエンジニアを50〜100人規模に拡大し、グローバル市場での展開を目指している

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