“夢を語れる場”を全国47都道府県へ、テラコヤの挑戦

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会社名NPO法人テラコヤ
代表者前田 和真(代表理事)
事業内容企業オフィスの空きスペースを活用し、小中高大学生に無料の学習支援・体験学習・キャリア教育を提供
設立2022年1月(前身の任意団体としては2021年4月活動開始)
所在地東京都豊島区西池袋2-9-9-102
URLNPO法人テラコヤ

NPO法人テラコヤは、大手企業の夕方以降のオフィスを借りて子どもたちに無料の学習支援を届けている。
代表理事の前田和真氏は、元教員から国会議員秘書を経て2020年に起業した異色の経歴を持つ。
今回は、事業の仕組みと、前田氏が掲げる「夢ハラ撲滅」への想いを聞いた。

目次

創業ストーリー——教員から国会議員秘書、そして起業へ

前田氏は7年間、高校の教員として教壇に立っていた。その経験が、テラコヤ創業の原点になっている。

学生時代を私立の中高一貫校で過ごし、学校生活が充実していたことから教員を志した前田氏。
しかし現場で多くの生徒と関わる中で、ある違和感に気づいたという。

のぞクマくん
教員時代はどんなことを感じていたんですか?

前田さん
子どもたちと関わっていると、「夢を持ってないです」っていう子が結構多くて。じゃあ自分はどうだったかなって振り返った時に、自分自身も、その先の未来まで壮大に描けていたかというと、そうでもなかったなって思ったんです。

のぞクマくん
それ、すごくわかります。教育のあり方そのものへの疑問だったんですね。

前田さん
日本の教育では、夢を持つきっかけをつくったり、主体性を伸ばしたりすることが、現状あまりできてないんだなっていう課題を感じて。じゃあ、それってどこでできるのかなと。学校の教員としてはできないなってなって、じゃあ制度から変えようかなと思って、国会議員の秘書になったんですね。

国会議員秘書として文部科学省の官僚からレクを受けるなど、制度改革の道を模索した。
しかし、次第に現場感覚とのギャップを感じ、最終的には自ら新しい教育の場をつくる道を選んだ。
2020年、前田氏はNPO法人テラコヤの前身となる活動を立ち上げた。

事業のかたち——企業オフィスを借りた無料の学び場

テラコヤの最大の特徴は、企業の遊休オフィスを学びの場に変える仕組みにある。

のぞクマくん
どんな事業をされているのか、簡単に教えてください。

前田さん
エンタープライズ企業さんの、夕方以降のオフィスをお借りして、社員さんが少なくなって稼働率が下がる時間帯に、子どもたちが無料で教育を受けられる場所を展開しています。対象は小学生から中学生、高校生、大学生まで。5教科7科目の勉強もできますし、一方で、将来何をやりたいのかを考えるための体験学習を、企業さんと一緒に行ったりもしています。

無料でありながら質の高い学びを提供できる背景には、独自の資金モデルがある。
現在、約60社の企業がテラコヤのスポンサーとなっている。

のぞクマくん
無料で運営できているのはどういう仕組みなんですか?

前田さん
子供たちに無料で学びを提供するっていうやり方と理念に共感してくれる企業さんからスポンサーフィーをいただいてやっていて。そのスポンサーさんたちにただお金をいただくだけじゃなくて、スポンサーさんたちの経営者コミュニティみたいなものも形成してるんですね。

学習面では、生徒が自分で持ち込んだ教材を大学生の講師がサポートする「個別指導付き自習」のスタイルを採用。
加えて、企業オフィスという環境を生かし、学生が社会人や経営者に将来の相談をしたり、企業の商品開発プロジェクトに参加したりする実践的なキャリア教育も行われている。

起業の壁と乗り越え方——ビジネス経験ゼロからのマーケティング独学

理念先行で走り出した事業には、当然ながら壁があった。
前田氏が最も苦しんだのは、ビジネススキルの不足だったという。

のぞクマくん
起業して一番のピンチはどんな時でしたか?

前田さん
元々教員だったので、ビジネス感とかビジネスセンス、いわゆるビジネスで必要なスキルやリテラシーみたいなものがそもそも、今も含めそんなにないので。理念ばかり先行してマネタイズをそこに追いつかせることができなかった時期が長かったかなと思いますね。

この課題を、前田氏は独学と実践を重ねながら乗り越えていった。
自らが抱えていた「集客」という課題に向き合った経験が、マーケティング事業を始めるきっかけとなった。

のぞクマくん
どうやって克服していったんですか?

前田さん
自分のビジネスの中で困っていること、例えば集客ですね。自分自身が集客に困っているなら、たぶん他の人も同じなんだろうなと思って。じゃあ、マーケティングを磨けば集客できるんじゃないかと。実際に一定の成功体験を得ることができたので、これを他の人にも提供したらいいんじゃないかと思って、始めたんです。

のぞクマくん
なるほど、自分の課題感が事業のヒントになったんですね。

現在、前田氏は教育を中心軸に据えつつ、別法人でSNS運用を中心としたマーケティング支援事業も手がけている。
「元学校教員という経歴はビジネス上では見られないが、自分の人生と経歴に紐づいた事業だからこそ教育に軸を置いている」と前田氏は語る。

“夢ハラ撲滅”にかける想い——夢プレゼンという場

テラコヤの取り組みの中でも、前田氏が特に力を入れているのが「夢プレゼン」だ。学生が自分のやりたいことを発表し、約30〜40人の経営者からフィードバックを受ける場である。

のぞクマくん
夢プレゼンでは、どんなことが起きるんですか?

前田さん
学生が夢をプレゼンすると、大人たちが本気でフィードバックをくれるんです。そうすると、夢の解像度がどんどん上がっていって、「あ、こうしたら叶えられるんだ」みたいな気づきが生まれる。
経営者の方たちって、結構そういう考え方をするなと思っていて。「できるか、できないか」じゃなくて、「どうすれば叶えられるんだろう」という前提で考えてくれるんです。

のぞクマくん
経営者の方って「無理じゃない」から考えてくれるんですね、それすごく良い環境ですね。

この場を通じて前田氏が撲滅を掲げているのが「夢ハラ」だ。
学生に求められる夢のレベルが高まりすぎ、素朴な願望すら語れなくなっている現状に、前田氏は課題感を持っている。

のぞクマくん
「夢ハラ」というのはどういうことなんですか?

前田さん
学生たちに求められる夢のレベルがなんかこう日々高まりすぎて、本当は心の奥底にこういうことやりたいっていうのを持ってるんですけど、これ夢として語っていいのかなみたいな。本当は素朴な何でもいいと思うんですけど、アメリカ行きたいとか誰々さんに会いたいとか、そういうのでもいいから発表してみてとは言ってます。夢ハラ撲滅のためにやってますね。

こうした働きかけが、学生の主体性を引き出す土台になっている。

これからの課題——2030年全国展開と権限移譲

テラコヤは今後、さらなる地域拡大を見据えている。

のぞクマくん
今後の展開について教えてください。

前田さん
2030年には47都道府県にこのテラコヤを広げたいなと思っていて、今もうすでに大阪、横浜、群馬とか、この辺にはちょっと広がってきてるんですよ。地域的な広がりを加速していかなきゃいけないっていう中で、多分それを担うべき人材みたいなのを確保していかなきゃいけないんだろうなと思います。

拡大に向けた課題として前田氏が挙げるのが、バックオフィス業務の負担だ。
現在も経理業務を前田氏自身が担っており、本来注力したい営業活動に十分な時間を割けていないという。

のぞクマくん
経理などの事務作業は、どなたが担当されているんですか?

前田さん
経理は僕がやってますね。年1回とかにまとめて僕がやるみたいな感じになってますね。だいぶしんどいっすね。

のぞクマくん
それは大変ですね……専門家に任せられたらいいですよね。

前田さん
NPOになるとちょっと会計が変わったりするんですよ。本当は税理士に全部レシートとか領収書とか投げてやって欲しいんですけど、それをやってくれる人がいないっていう感じですね。

今後の一歩として前田氏が見据えるのは、自身の営業力の向上と、周囲への権限移譲だ。

のぞクマくん
もし魔法の杖で会社の課題を一つ解決できるとしたら、何を選びますか?

前田さん
まだまだちっちゃいので、僕の営業力を伸ばすことですかね。コミュニティのクオリティを一定に保ちたいなという思いがあるので、僕から見てこの人だったら入ってもいいっていう人だけに声がけをしてるんですよ。

「自分のことを過信しすぎず、一旦任せてみることも大事なのかもしれない」と、同じ悩みを持つ経営者へのメッセージとして前田氏は語った。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、前田氏が「理念先行でマネタイズが追いつかなかった」と率直に語った起業初期の苦労と、それでも自分自身の困り事から事業を育ててきた実践的な姿勢だった。

  1. NPO法人テラコヤは、企業の遊休オフィスを活用した無料の学習支援・キャリア教育を展開している。
  2. 前田和真氏は、約60社のスポンサー企業とともに経営者コミュニティを形成し、資金と人的ネットワークの両面から事業を支えている。
  3. 前田氏は、学生が素朴な願望を語れる環境づくりとして「夢ハラ撲滅」を掲げている。
  4. テラコヤは2030年までに全国47都道府県への展開を目標としている。
  5. 前田氏は、バックオフィス業務の委託と権限移譲を、今後の組織拡大における重要課題と考えている。

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