“ものづくりが好き”じゃない人は続かない。動画の窓口が貫く採用基準

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会社名動画の窓口株式会社
代表者池上 和(代表取締役)
事業内容B2B向け動画制作・動画マーケティング・YouTube/TikTok運用支援・動画内製化研修
従業員数約8名
所在地東京都中野区中野3丁目27-19 アルカディア中野206
URL動画の窓口株式会社

動画の窓口株式会社の代表取締役・池上 和氏は、「動画で日本を強くする」をミッションに掲げ、B2B向け動画制作・マーケティング事業を展開している。

数々の採用の失敗を経てたどり着いた採用基準は「真面目・成長意欲・ものづくりが好き」の3つ。本記事では、創業の原点から採用・育成のこだわり、そして組織の未来像まで、池上氏の経営哲学に迫る。

目次

不動産営業マンが動画の世界に飛び込んだ理由

池上氏は新卒から3年半、B2B向けの不動産営業に携わっていた。企業の社長に直接会い、経営課題を聞く日々の中で「企業には一社一社それぞれの想いがある」と実感したことが、現在の事業の原点になっている。

のぞクマくん
まずは起業の経緯を教えていただけますか?
池上さん
僕自身が非常に昔からものづくりが好きだったものですから、不動産を経て独立して起業したいという思いが芽生えた時に、今だったら何なんだろうと。ちょうどYouTubeが非常に台頭し始めて、ユーチューバーという人が出てきたり、企業がYouTubeを使って自社のPRをやりだしたんですね

当時、サイボウズやコニカミノルタ、ネスレといった大手企業がYouTubeで自社ドラマを配信し始めていた。その完成度に感動した池上氏は、これからの企業PRは動画メディアが主役になると確信する。

池上さん
これからいろんな企業はCMではなくて自社の発信でどんどんPRをするんだと。しかもこれは動画なんだと。動画メディアを使っていくんだ、自社でも運用する時代になったんだと気づいて、それで一念発起で起業して、動画を本当にゼロから学ぶところから始めたっていうのが2015年のことですね
のぞクマくん
ゼロから独学で! 今年で11年目ということですが、すごい行動力ですね

不動産営業時代に培った「経営者の想いを聞く力」と、ものづくりへの情熱。この2つが掛け合わさったことで、動画の窓口の事業は生まれた。

会社を辞めようと思った5秒間——6年間の孤独と再起

順調に見える11年の歩みの中で、池上氏が本気で廃業を考えた時期がある。創業から約6年間、パートナーが定着せず、1人社長にアルバイト1〜2名という体制が続いていた。

のぞクマくん
起業してからのピンチや転機について聞かせてください
池上さん
会社辞めようかなって本気で思ったことが1回ありまして、それがかれこれ4年前ぐらいになるんですけれども。仕事や売り上げはそんな悪くなかったものの、採用しても人が定着しなかったり、右腕というかパートナーみたいな人が定着しないので、一緒になって会社というチームを育てていく人がいなくて

右腕不在のまま走り続けた結果、「何のためにこの仕事をやっているんだっけ」という根本的な問いが池上氏を襲う。キャッシュフローも3〜4ヶ月先まで見通せない状況に追い込まれた。

池上さん
それで気づいたら3ヶ月、4ヶ月ぐらいのキャッシュフローが、これこのままいくとまずいぞと。会社辞めようかなって、そういう時一瞬思ったんですよ。でもその時5秒ぐらい天を仰いで考えて、いやダメだと。ここで辞めてしまったら負ける癖がつく。だからまず足掻いて、原点回帰して打破しようと
のぞクマくん
「負ける癖がつく」という言葉、すごく刺さります。そこからどう立て直したんですか?

踏みとどまった池上氏は、なけなしの資金でマーケティング研修セミナーに参加する。それまで「うさんくさい」と避けていた高額セミナーだったが、知人の強い薦めで飛び込んだ。

池上さん
そしたらやっぱりそのセミナー、むちゃくちゃに良くて。売り上げを上げる仕組みだけではなくて、この仕事ってものが何なのかとか、そもそも我々なんで仕事やっていくんだっけっていうことだったりとか、自社の原点みたいなところも一緒に見つめ直せるような、そういうセミナーだったんですね

セミナーを経てリスタートを切った1〜2ヶ月後、池上氏は創業当初から一緒に仕事をしていた仲間に声をかけ、役員として招き入れた。「俺一人じゃダメだから、一緒に会社をやっていこう」。そこから3〜4年、事業は順調に成長を続けている。

採用の答えは「真面目・成長意欲・ものづくりが好き」の3つ

動画の窓口が現在の採用基準にたどり着くまでには、数多くの失敗があった。池上氏が「これだ」と確信した基準は、約1年半前に確立されたものだ。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準を教えてください
池上さん
かなりいろいろ採用活動失敗しながら、ようやく1年半前くらいにこれだっていうのを見つけまして。3つあります。一つが真面目で誠実であること。二つ目が成長意欲があること。三つ目がものづくりが好きであること。この3つを全て満たす人が重要だなと気づいて、そこからは定着率が極めて高い状態かなと感じています

中でも池上氏が「一番致命的」と断言するのが、ものづくりへの情熱の有無だ。

池上さん
動画編集はリモートワークできるとか、稼げそうだとか、副業に良さそうだとか、そういう元来自分がクリエイターとして作品を作りたいということよりも違う目的の方がウェイトが高い人は辞めますね。これかなり高い確率で掴めています
のぞクマくん
スクールで学んで実際に続けられる人はどのくらいの割合ですか?
池上さん
体感で言うと2割か3割ぐらいかなっていう体感ですね。辞めていく人の決定的な特徴は、やっぱりそもそもものづくりが根っから好きじゃないってことですね

採用のステップは、書類選考を経ておおむね面接2回。1回目は池上氏本人、2回目は役員を含めた面接で判断する。面接開始から1分であっても、3つの基準のどれかが欠けていれば「違うな」と感じるという。

厳しく育てる、でも明日会社が潰れても戦える人にする

動画の窓口では、中途採用者に対して約1日のガイダンスを行った後、即座に実践投入する。OJTという枠組みではなく、実案件を通じてスキルを確認・改善していくスタイルだ。

のぞクマくん
育成で一番こだわっていることは何ですか?
池上さん
パーソナルの部分で言うと、未熟なメンバーに対して変に忖度して甘くしたりしないってことですね。成長意欲だったり、自学習する姿勢だったり。成果物にもプロセス全体に対しても”1人のプロであり仕事をするパートナー”として厳しくするっていうのを一貫して守っています。どうしてもキャリアでは僕の方が上になりがちなので

ただし、その厳しさには明確な理由がある。池上氏はメンバーに対して常にこう伝えている。

池上さん
僕は代表としてみんなに給料を払うっていうことは死守すると。だけどうちの会社はまだまだ10人弱ぐらいの会社なので、何かあったら潰れるような会社です、はっきり言って。皆さんの人生まで守るとか、みんなが家族だファミリーだとか、そういうことは言わない。その代わり、もし明日会社が潰れたとしても、明後日別の会社ですぐ即戦力として重宝されるぐらい成長はさせる。だからその代わり厳しくやるっていう話をしています
のぞクマくん
「家族だ」と言わない代わりに、市場で戦える力をつけてあげる。それは本当の意味で社員思いですね

仕組み面では、今期から池上氏自身が案件の現場に出ないことに取り組んでいる。代表が直接関わることでメンバーにストレスがかかるのを防ぎ、チームで案件を完結できる体制を目指している。

また、フルリモート体制の中で相互理解を深めるため、月1回の全体ミーティングでは1分間スピーチや「メンバーズポリシー」と呼ばれる行動指針の共有、各自が「この動画良かった」と思う作品の発表などを行っている。

池上さん
それによって今各メンバーが今どんな気持ちがあるのかとか、何が大変だったのかとか、この人ってどういう作品好きなのかなっていうのを社員同士が分かり合うっていうことをやっていて、相互理解に非常に寄与しているかなと思います

動画で日本を強くする——自社サービスとNPOが描く未来

池上氏が思い描く動画の窓口の未来像は、「ただの制作会社」にとどまらない。自社サービスの開発、メディア運営、イベント開催など、自分たちのリズムで発信できる会社を目指している。

のぞクマくん
今後のビジョンを聞かせてください
池上さん
自分たちがやりたいことを自分たちのリズムでどんどんサービスを作ったり発信したりできる会社にしていきたいとは思います。自社でサービスを作ったり、メディアを立ち上げて運用したり、自社のPRをやったり。動画の窓口の考え方が一貫して、世の中の人が見たときに面白そうなことをしている会社という風に見てもらいたい

現在、池上氏は本業とは別にNPOを立ち上げ、小学生以上の子どもたちに動画の編集や作り方を教える活動を行っている。子どもたちが作った動画でコンテストを開催するなど、ものづくりの楽しさを次世代に伝える取り組みだ。

のぞクマくん
もし魔法の杖があって、会社の何か一つだけ一瞬で解決できるとしたら、何を選びますか?
池上さん
自社のYouTubeのチャンネル登録者数を100万人にします。多分それだけでいろんなことが何でも叶えられるぐらい強い武器だと思います
のぞクマくん
100万人! それが実現したら、ミッションの「動画で日本を強くする」が一気に加速しそうですね

最後に、動画の窓口で働きたいと考えている人へのメッセージを聞いた。

池上さん
動画を使って日本を強くしたいんだと、もう一回日本を元気な国にしたいと。自分の力でやりたいんだ、それが動画っていうもので貢献できるんじゃないかっていう人がいたら、是非一緒に仕事したいなと思います

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、池上氏の「負ける癖がつく」という言葉に象徴される、逃げない姿勢だ。華やかな動画の世界の裏側で11年間走り続け、時に孤独や廃業の危機と向き合い、そこから自分なりの採用基準と組織づくりの形を見つけ出した。厳しさの中にある「社員の市場価値を高める」という愛情が、動画の窓口の強さの源泉だと感じた。

  1. 動画の窓口株式会社は「動画で日本を強くする」をミッションに、B2B向け動画制作・マーケティング事業を2015年から展開している
  2. 池上氏は採用基準を「真面目・成長意欲・ものづくりが好き」の3つに絞り、定着率の大幅な改善を実現した
  3. 同社は「給料は死守するが、人生は守らない。その代わり市場で即戦力になれるまで成長させる」という育成方針を貫いている
  4. フルリモート体制の中で月1回の全体ミーティングやメンバーズポリシーの共有を通じ、相互理解を重視した組織運営を行っている
  5. 池上氏はNPOで子ども向け動画教室を運営するなど、ものづくりの楽しさを次世代に伝える活動にも取り組んでいる

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