“当たり前に縛られない人”だけを採る組織のつくり方

  • URLをコピーしました!
会社名株式会社ラストパートナー
代表者土岐 誠(代表取締役社長)
事業内容ネパール現地法人でのシステム開発支援、日本語学校運営、ネパール人材紹介
設立2021年1月
従業員数約30名
所在地東京都目黒区目黒1-16-10 DaikiDuo目黒301
URL株式会社ラストパートナー

株式会社ラストパートナー代表取締役の土岐誠氏は、ネパールに雇用を生み出すことを使命に掲げ、システム開発支援と人材紹介事業を展開している。採用ではスキルよりも「マインド」を最重視し、当たり前に縛られない人材だけを迎え入れる独自の組織づくりを実践する同社の経営哲学に迫った。

目次

ネパールに雇用を生み出す——居酒屋から始まった挑戦

株式会社ラストパートナーの原点は、2019年のネパールにある。土岐氏は高校時代の友人であり、現在副社長を務める宮田澪氏とともにクラウドファンディングで資金を集め、ネパールで居酒屋を立ち上げた。

のぞクマくん
どうしてネパールで起業しようと思ったんですか?
土岐さん
ネパールって一人当たりのGDPがアジアで一番低い、代表的な発展途上国なんですけど、その方々の生活とか孤児院とかも回ってみて、日本人ってなんて恵まれている環境なんだっていうのを身をもって感じて。それを社会に対して何か自分が変えていけるものとしたら、ネパールに仕事、雇用を生み出して、どんどん人々の生活を良くするっていうことだなと思ったんです
のぞクマくん
実際に現地の生活を見て、行動に移したんですね。そこからすぐにうまくいったんですか?
土岐さん
結果うまくいかなくなって、東京に帰ってきて、半年ぐらいホームレスだったんですね、僕。友達の家を転々として、お金を借りながら食いつなぐみたいな半年間がありました

土岐氏はもともと野村證券に勤めていた。26歳でホームレスという逆境の中、転機が訪れる。

土岐さん
今、日本でも有名になってきている起業家の方二人に、無期限無利子でお金を貸すから一回自分で会社を作ってやってみろと。お金は別にもう返さなくていいから、もう一回チャンスをやるから勝負してみろって言われて、会社を立ち上げたんです。その瞬間が一番しんどかったけど、チャンスになった瞬間ですね
のぞクマくん
どん底からの再出発、まさにドラマのような展開ですね

こうして2021年1月、株式会社ラストパートナーが誕生した。「社会を1ミリでも前に進めたい」という土岐氏の思いが、事業の根幹を支えている。

採用基準は”マインド一択”

ラストパートナーの採用基準は明確だ。スキルではなく、マインドを最重視する。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準は何ですか?
土岐さん
マインド一択でして。僕らの会社って社会人経験ない人が3分の1ぐらいいて。やっぱネパールに雇用を生み出すっていう会社のビジョンってとても珍しいので、まずそれに共感してくれる人があんまりいない。ただ少数はいるんで、もうその人たちだったら、全然仕事は後から覚えていけばいいっていうスタンスです

現在、社員約30名のうちネパール人が23名、日本人が7名。女性比率が高く、平均年齢は26歳と若い組織だ。フリーターだった人、ネパールで日雇いで食いつないでいた人など、経歴はさまざまである。

のぞクマくん
面接でこの人はいいなと感じる瞬間ってありますか?
土岐さん
絶対質問するのは、友達からどういう人って言われますかって聞くんですけど、その瞬間にパッと答えられる人は、結構自分を客観的に見れている人が多いんで、いいなと思います。逆にうーんって悩む人は、主観でしか物事を見れてないっていう側面が多かったので
のぞクマくん
なるほど、自分を客観視できるかどうかがポイントなんですね
土岐さん
あとは人と違うことをしたいって言っている人は僕たちの会社に合うんで、その、なんか変わってる人ですね、がいいです

逆に、安定志向の人やパッションがない人、環境の条件で選ぶ人は採用しないと土岐氏は語る。「海外志向か」「当たり前に縛られていないか」が、面接で見るポイントだ。

マニュアルはない、自分で考え行動する

ラストパートナーの育成方針は、一言でいえば「主体性に賭ける」スタイルだ。研修制度やマニュアルは整備されていない。

のぞクマくん
新しく入った方はどうやって一人前になっていくんですか?
土岐さん
正直そういうの全く整ってなくて、マニュアルがないんでマニュアルから作ってくださいみたいな感じなんですけど。最初の1、2週間は会社のことや仕事のことを簡単に教えますけど、2週間ぐらい経ったらもう現場に入って、わからんことあったら聞くスタイル。主体性を持って進めていくっていう形にしてますね
のぞクマくん
かなりハードな環境ですね。ついていけない方もいるんじゃないですか?
土岐さん
3割ぐらいはやめてますかね。そこで頑張れる人じゃないと、遅かれ早かれ辞めるっていうデータがあるので、もう結構放置。放置してどうなるんかなっていうのを見てる感じです

3割が離脱するという事実を、土岐氏は冷静に受け止めている。引き止めることはしない。

土岐さん
どの選択も正解だと僕は思ってるんで、やめるっていう選択も正解だなと思うので、止めはしないですね。でも企業文化と違うみたいな形だったら、引き留めは全くしないです
のぞクマくん
「どの選択も正解」っていう考え方、多くの経営者にとっても響く言葉ですね

合わない人を無理に引き止めないことで、組織のカルチャーを守る。それがラストパートナー流の育成哲学だ。

日本とネパール、文化の壁を越える

日本とネパールの時差は3時間15分。勤務時間は11時から20時を基本とし、ほぼフルリモートで運営している。しかし、時差以上に大きいのが文化の違いだ。

のぞクマくん
日本とネパールで、仕事の進め方にギャップはありますか?
土岐さん
全然違います。日本人って電車が一本遅れただけでもえ?みたいな感じになるんですけど、逆にネパールって時刻表がないんですね、国に。バスが目の前に来たら乗るみたいな感じなんで、時間っていう概念がまず違うんです
土岐さん
ミーティング何時からねって言っても3分遅れて入ってくるとか、いやいや入ったからいいじゃんみたいな感じだったんで、最初は。いやそういうことじゃないみたいなところから、立ち上げていきましたね
のぞクマくん
5年かけて文化をすり合わせてきたんですね。それは相当な根気ですね

日本語教育にも力を入れている。オンラインで日本語を話す時間を設けたり、現地の日本語学校の生徒約100名を連れて山登りをしながら日本語でしりとりをしたりと、実践的な取り組みを行っている。

のぞクマくん
もし魔法の杖があって、会社の何かを一瞬で解決できるとしたら?
土岐さん
綺麗な日本語を喋れるようにしますね、ネパール人を。そしたらもう全て解決しますね。語学を覚えるのってやっぱ時間かかりますし、日本語って漢字、カタカナ、ひらがなあるっていう本当に最高難易度レベルの言語なんで。それがなくなったら、多分相当優良企業になると思いますね

ユニークな福利厚生もある。日本とネパールのオフィスを自由に行き来できる制度だ。航空券の補助があり、社員がネパールで、日本どちらでも働けるようにしていて、心を開放しながら仕事ができる。そんな働き方が実現している。

トヨタの国内従業員数7万人を目指して

ラストパートナーが掲げるゴールは明確だ。ネパール人に7万人の雇用を生み出すこと。これはトヨタ自動車の国内従業員数と同じ数字である。

のぞクマくん
なぜ7万人という数字なんですか?
土岐さん
トヨタの国内の従業員数が7万人なんですね。社会にインパクトを与えるってなった時にわかりやすいのがやっぱトヨタの従業員数なんで、そこを目指してやってるんです
のぞクマくん
スケールの大きさに驚きます。3年後の具体的なイメージはありますか?
土岐さん
マネージャー層が複数必要になってくるなっていうところは思っていて、今って本当二人ぐらいしかいないんですけど、そのマネージャーを10人ぐらいまで増やして、メンバーで言うと百人は越してないとダメだなと思ってますね

土岐氏は自身のメンタル維持について、「環境で変える」と語る。

土岐さん
頑張ろうって決意するんじゃなくて、もう環境ごと。色々な経営者に会って喋るとか、熱いサウナ室にこもるとか。そういうので体から変えています

最後に、ラストパートナーで働いてみたいと考えている人へのメッセージを聞いた。

土岐さん
一度きりの人生、今のままでいいのかと疑問に思ってる人がいるなら、一回ネパールの話を聞いてみて欲しいと思いますね。自分がどれだけ恵まれているのかとか、贅沢な悩みかっていうのを、ネパールに対面したら多分日本人一人残らず感じると思うので。日々の生活に満足してない、ちょっと乾いているなと思っている人がいれば、一回カジュアルに話しましょうと伝えたいです

現在、ラストパートナーではネパール現地で働ける日本人を積極的に募集している。日本のコンサル会社で働きながら「一度きりの人生、このままじゃ嫌だ」と感じている人からの応募も増えているという。

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、土岐氏の「どの選択も正解」という言葉だ。ホームレスからの起業、異文化マネジメント、3割の離脱を受け入れる覚悟。すべての経験を肯定しながら前に進む姿勢が、この組織の強さの源泉だと感じた。

  1. 株式会社ラストパートナーは、ネパール現地法人でのシステム開発支援と日本語学校運営を通じて、ネパール人材を日本企業に紹介する事業を展開している
  2. 土岐誠氏は採用において「マインド一択」を掲げ、スキルよりもビジョンへの共感と主体性を重視している
  3. 育成では2週間で現場に投入し、合わない人は引き止めない方針で組織カルチャーを維持している
  4. 日本とネパールの文化差を5年かけてすり合わせ、日本語教育や自由な拠点間移動制度など独自の仕組みを構築している
  5. トヨタの国内従業員数と同じ7万人の雇用をネパールに生み出すことを最終目標に掲げている

あなたの経営も、記事にしませんか?

掲載無料。話すだけで、御社の魅力が記事になる。

掲載希望はこちら →

  • URLをコピーしました!
目次