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| 会社名 | 株式会社インクリースジム |
| 代表者 | 中世古 教士(代表取締役) |
| 事業内容 | 社外採用責任者(社外CHRO)として企業の採用活動の整理・設計・判断支援を行う |
| 設立 | 2024年 |
| 従業員数 | 1名 |
| 所在地 | 東京都新宿区新宿1-36-2 新宿第七葉山ビル3F(新宿オフィス) |
| URL | 株式会社インクリースジム |
株式会社インクリースジム代表の中世古教士氏は、求人広告営業として13年、事業会社の採用責任者として4年のキャリアを経て、2024年に独立した採用コンサルタントだ。
「採用がうまくいかない根本原因は、媒体や手法の選択ではなく、採用戦略の設計にある」という確信のもと、中小・ベンチャー企業の採用改善に取り組んでいる。
目次
13年間、外から採用を見続けてわかったこと
採用の現場で長年感じていた「ある違和感」が、中世古氏の起業の原点になっている。
Indeed・マイナビなどの求人媒体を扱う営業として13年間、多くの企業の採用を外側から支援してきた。しかし、その立場でできることには明確な限界があった。
求人媒体の営業として、どんなことをされていたんですか?
求人メディアをトータルで13年間扱っていて、外側から企業に対して応募数を提供するということをやってきました。その時には何の迷いもなく、一生懸命応募を入れることが正義だと思って入れてたんです。
応募数を増やすことが採用の答えだと。でも、それだけでは足りなかった?
ご縁があって13年目の時に「うちの会社の採用全部見てくれ」ということで企業から声がかかって、採用責任者になりました。今度はひとつの企業の中に入って、自社の採用の数をいかに増やすのかということをやりました。
その結果は劇的なものだった。4年間の取り組みを経て、年間採用数は入社前の85〜86人から120人超へと、140%の改善を達成した。しかし中世古氏が着目したのは、数字そのものよりもその「理由」だった。
媒体とか手法みたいなものを変えたり、いいものを見つけたりしたから改善したわけじゃなくて、企業の中の採用に至るまでのプロセスのところの戦略設計みたいなものを作って改善したことによって、結果的にユーザーサービスが上がりました。
戦略設計を変えただけで、採用数が140%になったと。それはすごい話ですね。
他の企業さんも今採用すごく困ってるって言ってる中で、他の企業もほぼほぼみんなどの媒体にするかって話を、要は手法の選択みたいな話をずっとしていて、そこの中で戦略を作ることによって改善できるということに全く気づいていないですね。
この気づきが、独立の決断につながった。「これは他の会社にも役に立つんじゃないか」という確信を持って、2024年に株式会社インクリースジムを設立した。
採用がうまくいかない本当の理由
中世古氏がコンサルティングの現場で最初に取り組むのは、「誰を採りたいか」の言語化だ。多くの企業が、ここを曖昧なまま媒体選定や原稿作成に進んでしまっている。
採用がうまくいかない企業に、まず何から取り組むんですか?
採用したい気持ちはあるが何から始めればいいか分からない、採用で一番最初に大事なのが、誰を採用したいのかを、もっと言語化していくことがすごく大事なんですけど、これができていない企業さんもすごく多いです。
「コミュニケーションスキルが高い人」みたいな曖昧な基準で採用しようとしてしまう、ということでしょうか。
そうですよね。すごい元気な人がコミュニケーションスキル高い人なのか、相手の話を聞くことができる人がコミュニケーションスキル高いのか、それを整理して、こうですねって解釈できる人のコミュニケーションスキル高いのか、行動力がある人がコミュニケーションスキルが高いのか、全然分かりませんと。
ペルソナの解像度が低いまま求人を出しても、「誰にも刺さらない」求人になってしまう。
中世古氏はさらに、採りたい人物像が固まったら、次はその人へのメリット設計が必要だと伝える。
例えば、稼ぎたい人を採用したい場合や、営業力の高い人を採用したい場合には、歩合を高めに設定する。「うちは30%を歩合として提供するので、今より稼げますよ」という形にすると、入社したときのメリットや、その人にとってのメリットが明確になります。こういう設計を、しっかり作っていくことが大事です。
「どんな人を採用したいのか、その人にとって自社のメリットは何か」を先に設計してから、求人を出すということですね。
つまり、誰を採用したいのかをもっと言語化して、どの企業もそこを考えましょう、ということです。ただ、その中身は企業によって違いますよね。
「何でもやります」では刺さらなかった一期目
独立への自信はあった。しかし現実は、想像とは大きく異なるものだった。
独立してさまざまな方とお会いし、いろいろなことに取り組んでいく中で、必ずしも思い描いていた通りには進まないことを実感しました。そこに十分なお金をかけられなかったり、そもそも自分自身が何者なのかを明確に示せなかったりしたため、独立当初はなかなか売上につながりませんでした。やはり、売上を上げることには大変苦労しました。
それはつらいですね。原因はどこにあると分析しましたか?
こちらの言語化に課題があることも大きかったと感じています。自分が何者で、どのような価値を提供できるのかが十分に伝わっておらず、相手に「良いものかもしれない」で止まってしまっていました。そのため、相手に購入したいと思っていただくまでには至りませんでした。
一期目は「採用のこと何でもやります」と言い続けた。しかし、何でもできますという言葉は、誰にも響かなかった。これはまさに、自身が日頃クライアントに伝えている「ペルソナが曖昧では刺さらない」という課題を、自分自身が体験した瞬間でもあった。
転機をもたらしたのは、人とのつながりだった。
さまざまな方と出会う中で、人とのつながりが自分の売上に大きく直結していると強く感じました。これまで関わってきた方々や、これから出会う方々とのご縁に支えられて、今の仕事が成り立っていると実感しています。人とのつながりがなければ、私は今の仕事を継続できていなかったのではないかと思います。それほどまでに、自分を助け、支えてくれたのは「人」だったと感じています。
自分のビジネスの言語化を助けてくれたのも、人だったということですね。
どのようにすればもっと適切に言語化できるのかについては、このようなオンラインでの対話の中で、「もっとこうした方がよいのではないか」といった助言をさまざまにいただいたことが大きかったです。そうした言葉を受けることで、自分の中でも考えが整理され、表現する言葉や伝え方が少しずつ変わっていったのだと思います。
採用側が本音で語る、求職者へのアドバイス
13年にわたり採用の現場を見続けてきた中世古氏は、求職者に対しても率直なメッセージを持っている。
書類選考・面接・自己分析、それぞれの段階でよくある「やってしまいがちなミス」とは何か。
面接でこういう回答をする人は、採用しにくいなというパターンはありますか?
ある程度想定できる質問については、AIで質問を作成し、それに対する回答を文章化して準備すること自体は有効だと考えています。ただ、その後に一般的な質問をされた際、返答の仕方や回答内容に一貫性がないと、「作り込んだ回答を話しているだけではないか」と受け取られてしまう可能性があります。そのように見られると、採用面ではマイナスに働くのではないかと感じています。
AIで作った回答をそのまま暗記して話すのは逆効果になることもあると。
作られた言葉で話すことよりも、自分らしく話すことの方が採用側とすると、やっぱ採用したくなる。より人間味がある方が採用したくなったりするので。だからその文章をそのまま、覚えて喋っても、自分の言葉ではないので、絶対に1時間の面談の中ではバレるだろうなと思います。
学歴フィルターや空白期間についても、中世古氏は現場の感覚を正直に語る。
学歴フィルターについては、採用側としてどう見ていますか?
私は、進路を選ぶうえで学校名だけが決定的な要素になることは少ないのではないかと考えています。いわゆる有名校かどうかよりも、自分が何者で、何をしたいのかを相手に伝えられることの方が重要だと思います。自分のやりたいことが明確になっていれば、有名企業でなくても、それを実現できる中堅企業や成長中のスタートアップ企業はあるはずです。そのため、そのような企業に応募すれば、自分のやりたいことに近い仕事ができ、面接にもつながりやすくなるのではないかと考えています。
短期離職や空白期間がある方への言葉もいただけますか?
空白期間を責めても仕方ないですし、短期離職についても過去のことなので、そこは受け止めたうえで、それ以上に何ができるのかを見る方がプラスだと思います。
気にはなるけれど、それよりも他の良い部分が強ければ、二次面接に進んでもらおうと思えるのかなと思っています。
大切なのは過去の経歴の「形」ではなく、自分が何者で何をしたいのかを言葉にする力だ。
それは採用する側も、される側も、同じ課題を抱えているということを、中世古氏の言葉は示している。
採用の設計が整えば、企業の成長は変わる
インタビューの最後に、中世古氏は自身のビジネスへの思いと、経営者へのメッセージを語ってくれた。
魔法の杖があって、会社の何かを一瞬で解決できるとしたら、何を選びますか?
自分の仕事の言語化は、できれば一期目から取り組んでおきたかったと感じています。実際、一期目は「採用に関することなら何でもやります」という伝え方をしていましたが、それでは相手にうまく刺さりませんでした。もし一期目の段階から、今のように自分の仕事や強みを明確に言語化できていれば、現在三期目に入っている中で、本来は二年後に到達していたはずの状態を、もっと早い段階で実現できていたのではないかと思います。
同じ悩みを持つ経営者の方々へ、メッセージをいただけますか?
私は、結局のところ、ビジネスは人との関わりに大きく支えられていると考えています。課題を解決してくれるのも人であり、助けてくれるのも人です。どれだけ人と関わり、つながり、相手に貢献し、その結果として評価していただけるかが、最終的には仕事や成果につながっていくのだと思います。だからこそ、何をすべきか分からないときほど、まずは人に会い、出会う数を増やすことが大切だと感じています。
採用設計の本質を追い続ける中世古氏が見ている景色は、シンプルだ。採用は媒体を選ぶことではなく、
「誰に」「何を」「なぜ」伝えるかを設計すること。そしてそのプロセスを、一人で抱え込む必要はない。
編集部まとめ
今回の取材を通じて印象的だったのは、中世古氏が「採用のプロ」でありながら、自身の言語化に苦しんだ一期目の経験を包み隠さず語ってくれたことだ。コンサルタントが自らの課題と向き合った誠実さが、言葉のひとつひとつに重みを与えていた。
- 株式会社インクリースジムは、媒体や手法の選定より先に「採用戦略設計」を整えることで採用数の大幅改善を実現してきた。
- 中世古教士氏は採用がうまくいかない根本原因を「誰を採りたいかの言語化ができていないこと」と定義している。
- 採用コンサルティングでは、ペルソナ設計と「その人へのメリット設計」をセットで行うことを重視している。
- 起業一期目に「何でもやります」が全く刺さらなかった経験から、自社の言語化こそが最初の経営課題だったと語っている。
- 採用も経営も、「人との関わりの数と質」がビジネスの根幹につながると中世古氏は確信している。
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