<!– プロフィール –>
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| 店舗名 | Winebar Tsuki-akari |
| 運営責任者 | 山崎 翔(ソムリエ/飲食DXプロデューサー) |
| 事業内容 | 東京・湯島で11席のワインバーを運営。現場の課題から生まれた飲食店向けアプリ「AKISEKI」「TSUGIVO」をAIで自ら開発・提供 |
| 開業 | 2026年1月 |
| スタッフ数 | 1名 |
| 所在地 | 東京都文京区湯島2丁目31−17 DaikatsuBLDG 102 |
| URL | 山崎翔 公式サイト |
東京・湯島のワインバー「Winebar Tsuki-akari」を運営する山崎翔氏は、ソムリエ/飲食DXプロデューサーです。11席の店にひとりで立ちながら、ChatGPTを使って飲食店向けアプリを自ら開発しています。
元ギタリストからワインの道へ進み、パソコンを手にしてわずか1ヶ月でアプリを形にした山崎氏。
この記事では、属人性から脱却して「人に渡せる店」をつくるための仕組み経営と、小規模飲食店の未来にかける思いを伺いました。
目次
元ギタリストがワインと出会い、湯島で11席の店を開くまで
山崎氏は、音楽の世界からワインの道へ転身した異色の経歴の持ち主です。
ワインを「人と人をつなぐコミュニケーションのツール」と捉え、2026年1月に湯島でワインバーを開業しました。
私は新潟出身で、20歳の時に上京してきて、それから30過ぎぐらいまでずっと音楽の仕事をしていたんですね。今とは全然違う畑で、ギターをずっと弾いていたんですけれども。とあることがきっかけで、すごいワインにはまるようになって、それからワインエキスパートの資格を取りました。
音楽からワインへ! それまでもワインはお好きだったんですか?
資格取得後はワイン会を主催するようになり、レストランやワインバーでの手伝いを経て、ソムリエやマネージャーとして現場に立つようになりました。
山崎氏がワインに惹かれた理由は、味そのものよりも「会話が生まれること」にあるといいます。
ビールとかって、このビールどんな香りがするねってあんまりシェアしないじゃないですか。美味しいね、で終わっちゃうんですけど。ワインだったら同じワインを2人で飲んで、これはこんな感じだね、これは私好み、みたいな会話ですごいそこで話が広がるんですよね。私はあくまでコミュニケーションのツールとしてワインを選択した感じです。
ワインを「会話のきっかけ」として選んだというのは、新鮮な視点ですね。
自分の店を持った理由について、山崎氏は「より裁量権があって、より自由にできる場所が欲しかった」と振り返ります。
スケルトンから内装をつくる開業準備は選択肢が多すぎて悩みの連続でした。
開業資金も想定の1.2〜1.5倍ほどかかったといいます。
エンジニアに頼らず、現場の課題をAIでアプリにする
山崎氏は、エンジニアに依頼せずChatGPTを使って飲食店向けアプリを自ら開発しています。
その出発点は、毎日カウンターに立つなかで感じた「こんなものがあったら便利だ」という現場の気づきです。
バーってリアルタイムの空席情報がなかなか分からないんですよね。インスタのストーリーで今日はお席ご用意できますって流してても、投稿されたのが3時間前とかだと今どうなってるか分かんないじゃないですか。お客様によっては、混んでるから行きたい人もいれば、空いてるから行きたい人もいるんですよ。
そこで開発したのが、空席案内アプリ「AKISEKI」です。
店側はワンタップで席の状況を更新できます。
お客様は登録不要で、指定のURLを開けば今の混雑状況を確認できます。
一切携わってこなかったです。アイデアはあったんですけど、実現するためにはエンジニアさんにお願いしなければいけなかったので、予算的にも期間的にも難しいことがあって。知人のエンジニアに今回作ったシステムの見積もりを出してもらうと、やっぱり400〜500万ぐらいかかるって話を聞いてるので。ChatGPTを活用できるからこそ、現場で気づいた細かな改善をするシステムを作ることができるようになったと。
数百万円かかるものを、ご自身の手でつくれるのはすごいですね。
驚くべきは、山崎氏のIT歴の短さです。
ChatGPTに登録したのも、パソコンを購入したのも、取材のわずか1ヶ月ほど前のこと。
きっかけは、店の常連客にAIのプロがいたことでした。
両立する大変さはあまり感じていなくて、逆に両立だからすごくバランスがいいなと思ってるんです。現場に立つことによって問題点、改善点が出てきて、それを自分で開発して改善できるじゃないですか。作ったシステムを自分で試して、これあったら便利だった、これ作ったけど無駄だったって、フィードバックがリアルタイムで自分の中だけで完結できるのですごくやりやすいですね。PDCAって言うんですかね。回すのがすごく早いと思います。
現場に立つ人が自ら開発するからこそ、改善のスピードが圧倒的に速い。
これが山崎氏の強みです。
属人性から脱却し「人に渡せる店」をつくる
山崎氏は2〜3年以内に店長へ店を任せることを見据え、誰でも引き継げる仕組みで店を運営しています。
店づくりの軸にあるのは「店主ではなく、店のファンをつくる」という考え方です。
席数の11席も、この考え方から決めた数字です。
詰めれば15〜16席はつくれましたが、ひとりで接客できる上限を11名と判断しました。
将来的にはもちろん、私がこの店を抜けて、いわゆる店長さんを雇ってその人に任せて、さらに1店舗、2店舗展開していきたいビジョンはあるんですね。そのために、人に渡せるシステム作りっていうのはすごく意識していて。私がこのお店にずっと立ち続けるんであれば、よりメニューも増やせるし、よりワインの種類も増やせるんですけれども、人に引き継いでその人ができるような仕組みでお店を運営することをコンセプトにしてるんですね。
「自分がいなくても回る店」を最初から設計しているんですね。
オープンして半年ぐらいは、とても属人的な営業になってしまっていたんですね。とても嬉しいことなんですけど、私に会いに来てくれたり、私と話したいっていうお客さんがかなり来てくださってたんです。徐々に流れを作っていかないと、人に渡した時にまた経営が変わってしまうので。私自身じゃなくてお店のファンを作りたいイメージですね。
頭の中の顧客情報を「TSUGIVO」で引き継げる形に
属人性から抜け出すために山崎氏が開発したのが、顧客管理アプリ「TSUGIVO」です。
属人的なバーの経営ってなってしまうと、マスターはお客さんの情報を頭で把握しているんですよ。何々さんはこんなワインが好き、誕生日はいつだからお祝いしたいなって、全部頭で覚えてるんですね。、店主が変わった途端、その情報って全て失われるわけですよ。全て引き継ぎができないので。
個人店の「あるある」ですね。店主が替わると常連さんが離れてしまう理由がよくわかります。
TSUGIVOでは、会計前にお客様がQRコードからアンケートに答えると、名前や誕生日、連絡先が登録されます。
回答率は約95%にのぼるそうです。
| 機能 | 内容 |
|---|
| 顧客名簿の作成 | QRコードのアンケート回答で自動登録 |
| メモ | 好きなワインや会話の内容を記録し、次の店主に共有 |
| 一括メール | 登録客へまとめて案内を送信 |
| 誕生日クーポン | 誕生日に割引クーポンを自動送付 |
勘に頼らなくなりました。どうしてもバーの営業って忙しいですし、お客様と一緒にお酒を飲む機会もあるんですね。そうしてしまうと営業後にメモしようと思ってたことが、やっぱり抜けてしまったりとかするんですね。これがシステムによって確実に保存できる、確実に記憶できる、シェアできるっていうのが1つ大きいです。
AKISEKIとTSUGIVOは、基本機能を無料で他店にも提供しています。
今後は月額3,990円のプロ機能も提供する予定です。
小規模飲食店の継続率を高め、全国のリアルなコミュニティへ
山崎氏が目指すのは、日本全国の小規模飲食店の継続率を高めることです。
そのうえで、リアル店舗を持つ店主同士がつながるコミュニティをつくろうとしています。
すごく大きなビジョンになってしまうんですけど、日本全国の小規模飲食店って大体10年持たないんですよ。1年で潰してしまうところもあれば、3年、4年で潰してしまうところもあれば。その継続率を高めたいっていうビジョンがあります。今後AIがさらに発達して、人間の仕事がなくなるってなった時に、おそらく人間はコミュニケーションを求めると思うんですよ、私は。その時に小規模飲食店ってのがすごく大事な存在になってくると思うんですね。
AIが進化するほど、人と話せる場所の価値が上がるということですね。
アプリを無料で届けるのは、そのコミュニティづくりの入り口でもあります。
それを活用していただいて、お店の売上が少しでも改善して利益が少しでも残るようになったら、そこで1つのコミュニティを作れると思うんですよ。私はリアル店舗を持っている小規模飲食店の、日本全国のコミュニティを作りたい。
実現までのスケジュールは、どのくらいを想定していますか?
半年ですね。私が初めてパソコンを触って、AIを使ってシステム作り始めて、なんとなく形にできてしまったんです、1ヶ月とかで。ということは、半年後だったらもっといろんな人が同じことをするし、より簡単にシステムが作れるようになると思うんですよ。だから3〜4年かけてゆっくりやってこうっていうスタンスは全くないですね。半年です、土台作りは。
一方で、山崎氏はアプリで大きな利益が出たとしても現場に関わり続けると言い切ります。
現場を離れると、使えないアプリができてしまうからです。
ワイン詳しいだけだったらいっぱいいる。システム開発詳しいだけだったらいっぱいいる。で、私はワインに詳しくて、システム開発ができるんですよ。そうするとかなり差別化できるとは思ってます。
「やらなきゃ損」挑戦をためらう経営者へ
山崎氏の挑戦は、人との縁から生まれてきました。
AIを使い始めたのは常連客の影響、ワインにはまったのは知人の影響です。
さかのぼれば、ギターにはまったのも当時の先輩の影響でした。
すごくいろんな縁があって、タイミングタイミングでこのチャンスを掴みに行ったというか。助けてもらった上で、みたいな感じですかね。
何かの記事で読んだんですけど、日本に生まれる確率ってものすごく低いらしいじゃないですか。我々は日本に生まれることができて、今日本で生活をしているので、私は自分自身にリスクがほぼないと思っていて。うまくいかなくても、多分日本で生きてる以上ご飯ぐらいは食べれるので、だったらやらなきゃ損だなと思ってます。
「やらなきゃ損」。一歩を踏み出せずにいる経営者の背中を押してくれる言葉ですね。
編集部まとめ
今回の取材で印象的だったのは、山崎氏が最初から「自分がいなくても回る店」を設計していたことです。
現場に立つ当事者だからこそ、課題を見つけ、その日のうちに仕組みで解決できる。
その身軽さとスピードは、規模を問わず多くの経営者のヒントになるはずです。
- 山崎翔氏は、東京・湯島で11席のワインバー「Winebar Tsuki-akari」をひとりで運営している。
- 山崎翔氏は、ChatGPTを活用して空席案内アプリ「AKISEKI」と顧客管理アプリ「TSUGIVO」を自ら開発している。
- Winebar Tsuki-akariは、顧客情報を仕組みで共有し、店主ではなく店のファンをつくる運営を目指している。
- 山崎翔氏は、2〜3年以内に店長へ店を引き継ぎ、さらなる店舗展開を構想している。
- 山崎翔氏は、日本全国の小規模飲食店の継続率を高め、リアル店舗同士のコミュニティをつくることを目指している。
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