オルニ株式会社代表・熊崎雅崇氏に聞く|人柄採用×味チェックで5店舗へ。しじみラーメンで二日酔いを無くす

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会社名オルニ株式会社
代表者熊崎 雅崇(代表取締役)
事業内容生しじみラーメン「オルニ」を東京・愛媛で5店舗直営展開。しじみの濃縮ドリンク「オルニショット」の飲食店向け展開も手がける
設立2024年11月
従業員数約35名(社員3名・業務委託2名・アルバイト約30名)
所在地東京都品川区西五反田1丁目9−3 リバーライトビル 1F
URLオルニ株式会社

オルニ株式会社は、愛媛県松山市で22年続いたしじみラーメン店を事業承継し、生しじみラーメン「オルニ」を東京と松山で5店舗直営展開する企業です。
代表取締役の熊崎雅崇氏は、IT企業の会社員からラーメン未経験で転身し、承継から約2年で5店舗体制を築きました。本記事では、学歴不問の「人柄採用」と、店長と社長による2段階の「味チェック」を軸にした採用・育成の考え方、そして「この世から二日酔いを無くす」というビジョンを紹介します。

目次

閉店寸前のしじみラーメンを継いだ理由

熊崎氏が起業を決めたきっかけは、母親との別れでした。
そこへ偶然の出会いが重なり、閉店目前のしじみラーメン店を引き継ぐことになります。

学生時代から「いつか起業したい」と考えていた熊崎氏。
上場企業やIT企業で働くなかで、2022年に母親を亡くしたことが転機になったと振り返ります。

のぞクマくん
起業のきっかけを教えてください。

熊崎さん
母親が亡くなったことをきっかけに、人生は一度きりなんだと強く実感しました。それまでは『いつか起業できたらいいな』くらいに考えていたんですが、その出来事を通して、時間には限りがあることに初めて本当の意味で気づいたんです。そこから、『いつか』ではなくて、『今やらないと』と思うようになり、起業を決意しました。

何で起業するか考えていた時期に、先輩経営者から呼ばれて愛媛県松山市へ。
70代ほどのご夫婦が22年間営んできた店は、後継者不足と体調不良により1週間後に閉店する予定でした。

熊崎さん
その日、経営者の先輩含めて6人ぐらいで行ってて、朝6時ぐらいまでお酒を結構飲んだんですけど、そのラーメン食べた人、誰も二日酔いになってなくて。え!面白いと思って。

のぞクマくん
そこから、どうして引き継ぐことになったんですか?

熊崎さん
今のラーメン屋が東京とか全国に広がったらどんな気持ちになりますか?みたいな話をした時に、ちょっとにこやかにされてたんで。引き継がせてくださいって言ったら、なぜかいいよって言ってもらえて。

のぞクマくん
IT出身でラーメン未経験。まさに「たまたま」の出会いだったんですね。

熊崎氏は2ヶ月の修行期間を経て店を継承しました。
「まだまだ生きたいと願う人がいる」という想いが、事業の原点になっています。

資金難と2店舗同時出店という転機

創業からの2年間で、熊崎氏は資金が尽きかける危機と、出店の好機の両方を経験しています。

約2ヶ月前、売上に対して手元の現金が合わない状態が続きました。
原因は社内の金銭トラブルで、熊崎氏は自身の給料を止めてしのいだといいます。

熊崎さん
思ってる売上よりも現金が少ないんで、本当にお金がなくて、自分の給料とかも払わずに過ごしてました。売上あるはずなのに、なんで手元に現金ないんだろうって。

のぞクマくん
それは本当に修羅場ですね。では、逆にチャンスだった瞬間は?

チャンスが訪れたのは、まだ3店舗だった2026年春です。
六本木と歌舞伎町で、好条件の物件がほぼ同時に見つかりました。

熊崎さん
六本木よし、次行こうかってなったタイミングで、歌舞伎町にもいい物件が出てきて。うわ、このタイミングかみたいな。でも、もう行くしかない。チャンスだなと思っていきました。

出店エリアには明確な戦略があります。
お酒を飲んだ後の「締めの一杯」を届けるため、深夜まで人が集まる繁華街を狙う方針です。

熊崎さん
僕たちが狙っているのは、夜遅くまでお酒を飲む方たちです。
飲んだあとの“締めのラーメン”を届けたいので、出店場所も、夜や深夜まで人が集まっている街を中心に考えています。だから、単純に人通りが多い場所ではなくて、夜遅くまで飲食需要がある街に出していくというのが、僕たちの出店戦略です。

全店が夜から翌朝5時までの営業で、昼営業は行っていません。
今後は新橋や上野への出店も視野に入れています。

オルニの採用基準はスキルより「素直さと愛嬌」

オルニの採用で最も重視するのは人柄です。
ラーメンの経験や学歴は問いません。

のぞクマくん
採用で一番大切にしている基準は何ですか?

熊崎さん
人柄ですね。僕だってラーメン作ったことないのにラーメン屋やってるんでね。もう素直でいいやつというか、愛嬌があってやる気のある子だけですね。学歴も何も関係ないです。

面接で必ず聞く「充電器の質問」

人柄を見極めるため、面接では接客場面を想定した質問をします。
「お客様から携帯の充電器を貸してほしいと言われたら、どう対応するか」という問いです。

最悪の回答は断ることで、その時点で不採用です。
そのうえで、回答には次のような段階があるといいます。

  1. レジで預かり、帰りに渡す
  2. テーブル下のコンセントを案内し、食べながら使えるようにする
  3. 自分のモバイルバッテリーを貸す

熊崎さん
モバイルバッテリーだったら、お手洗い行ってる時もずっと触りながら充電できるじゃないですか。僕たちがお客さんだったら嬉しくないですか?

のぞクマくん
お客様の「本当の困りごと」まで想像できるか、を見ているんですね。

社員はリファラルとアルバイトからの登用

アルバイトはAirワーク経由で求人を出し、面接は1回です。
社員は求人媒体を使わず、知人からの紹介やアルバイトからの登用で採用しています。
社内には、仲間を紹介すると報酬が出るリファラル制度もあります。

熊崎さん
アルバイトで働いてくれていた子が、ある日突然『俺、店長になりたいっす!』って言って、そのまま社員になってくれたりするんです。

最近はInstagramに加え、Threadsからの応募も増えています。
スタッフの男女比は6対4、平均年齢は24歳ほどです。

入社1ヶ月で一人前に育てる現場育成と「味チェック」

オルニでは、座学の研修をほぼ設けていません。
現場で教え、約1ヶ月で一人前に育てるスタイルです。

店舗は基本2人体制で、キッチンとホールの両方を担当します。

熊崎さん
最初の1週間とかは、店長とかがつきっきりでその人の後ろで見て、ちょっとずつやっていって、任せられそうだったら任せていくみたいな感じですね。

店長と社長、2段階の味チェック

育成で譲れないのが「味チェック」です。
しじみのスープは繊細で、作り手によって味が変わってしまうためです。

熊崎さん
店長と社長の2段階の味の合格がもらえないと、独り立ちできないっていうのがあります。

のぞクマくん
それは一番緊張しそうですね……!

熊崎氏自身も、承継時に先代のご夫婦から味チェックを受けました。
その日はちょうどテレビの取材が入っていたそうです。

熊崎さん
テレビに撮られながら味チェックして、厳しいお言葉をいただきました(笑)

売上がスタッフに還元される「オルニバック」

スタッフに好評なのが「オルニバック」という制度です。
しじみ約300匹分を凝縮したショットドリンク「オルニショット」(1杯1,000円)を接客で販売すると、その30%が歩合として給与に上乗せされます。

熊崎さん
お金稼ぎたいスタッフとかは、毎月100杯とか、それだけで5万円稼いでたりします。

頑張りがそのまま収入に反映される仕組みが、スタッフの意欲を引き出しています。

「この世から二日酔いを無くす」ために仲間を集める

オルニが掲げる最大の目標は「この世から二日酔いを無くす」ことです。
5年で企業価値100億円、上場100店舗を目指しています。

熊崎さん
この世から孤独はなくならないと思うんですけど、二日酔いならなくせるかなっていうのは思ってるんで。

視線は海外にも向いています。
1店舗目の候補はニューヨークです。
現地で1杯3,000〜5,000円のラーメン店が賑わう様子を見て、挑戦を決めたといいます。

事業の柱として育てたいのが「オルニショット」です。
現在は都内約50店舗のバーなどと連携し、熊崎氏自らクーラーボックスを持って営業しています。
今後は商品化してコンビニなどにも並べたい考えです。

のぞクマくん
やりたいことが多い一方で、社長の時間は足りていますか?

熊崎氏は、人手が足りない日は現場に立ちます。
シフトの最終確認や勤怠確認、支払いの振込といった事務作業も、今はすべて自分でこなしているそうです。

のぞクマくん
もし魔法の杖で1つだけ解決できるとしたら?

熊崎さん
オルニを一緒に成長させて、共に戦ってくれる仲間を呼び寄せます。

最後に、飲食業界で働く人へのメッセージをもらいました。
オルニで活躍する社員には、前職で過酷な環境に苦しんだ飲食出身者が多いといいます。

熊崎さん
今の飲食とかで働いてて、成長感じないなとか、苦しいなみたいな思いをしている人は、うちに来たら絶対そんなことなくなると思うんで。心が疲れ切っていた子が、今店長でめちゃめちゃ生き生きしてるんで!

熊崎さん
あとはぜひうちのラーメン食べに来てほしいなって思ってます!

編集部まとめ

今回の取材で印象的だったのは、充電器の質問に表れる「お客様の本当の困りごとを想像する力」へのこだわりです。
スキルより人柄で採り、味だけは妥協しない。
そのバランスが、未経験からの急成長を支えていると感じました。

  1. オルニ株式会社は、松山で22年続いたしじみラーメン店を承継し、約2年で5店舗を直営展開している。
  2. オルニ株式会社は、スキルや学歴ではなく「素直さ・愛嬌・やる気」を採用基準にしている。
  3. オルニ株式会社は、店長と社長による2段階の味チェックに合格しないと独り立ちできない育成体制をとっている。
  4. オルニ株式会社は、オルニショットの売上30%をスタッフに還元する「オルニバック」制度を導入している。
  5. 熊崎雅崇氏は、「この世から二日酔いを無くす」を掲げ、5年で100店舗・上場・海外進出を目指している。

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